韓国軍の兵力は、少子化の進行と幹部採用の困難に直面し、2025年7月には45万人台へと大幅に減少する見込みであることが明らかになりました。これは、2019年の56万人からわずか6年間で11万人もの削減を意味し、休戦状態にある韓国が必要とする最小限の兵力規模とされる50万人を大きく下回る水準です。この兵力減少は、師団級以上の部隊の統廃合や作戦遂行能力の低下といった深刻な問題を引き起こしており、韓国の国防体制に多方面にわたる影響を与え始めています。
韓国軍兵力の実態:深刻な減少傾向と背景
韓国国防部と兵務庁から提出された資料によると、特に陸軍兵士は過去6年間で約30万人から20万人へと10万人以上も減少しています。この減少傾向は、現役判定基準の緩和によって現役判定率が69.8%から86.7%へ上昇したにもかかわらず、少子化という根深い問題による兵力不足を解消できていない現状を浮き彫りにしています。さらに、幹部選抜計画に対する実際の選抜人数が2019年の90%水準から2024年には50%水準へと半減しており、幹部確保の難しさが部隊運営全体に支障をきたす懸念が高まっています。これは、幹部の処遇改善が進む一方で、兵士の幹部志向が低下していることも一因とされています。
韓国軍の兵力不足が懸念される中、任務にあたる兵士たち
部隊統廃合と作戦遂行能力への影響
兵力減少の直接的な余波として、韓国軍は国防改革に基づき大規模な部隊の統廃合を進めてきました。2006年に59あった師団級以上の部隊は、現在までに42まで減少し、合計17部隊が解体または統合された計算になります。特に、江原道や京畿道北部といった戦略的に重要な地域の戦闘部隊(歩兵・機械化)や動員部隊がその対象となっています。例えば、来る11月には京畿道東豆川に駐留する陸軍第28歩兵師団が解体される予定です。
これらの部隊解体により、その任務は近隣の部隊が分担することになり、戦力運用の効率性にも問題が生じています。各部隊がこれまでよりも広範囲な防衛区域を担当せざるを得なくなり、作戦効率性や有事の際の対応能力の低下が懸念されています。具体的には、優秀な人材の確保が困難になるほか、保有する装備の運用能力の低下、ひいては全体の作戦遂行能力の低下という多方面にわたる負の連鎖を生みかねない状況です。
国防部の対応と今後の課題
韓国国防部は、こうした兵力減少の主要因として少子化と幹部志望者の減少を挙げています。これに対し、国防部は一定規模の常備兵力を維持するため、様々な対策を推進しています。具体的には、補充役や常勤予備役の規模縮小、女性人材の登用拡大、短期服務奨励金の支給拡大といった幹部志望者を増やすための誘引策が挙げられます。また、非戦闘分野における民間人材の拡大や、将校と副士官の長期活用なども検討されており、限られた人材を最大限に活用しようとする姿勢が見られます。
一方、与党の秋美愛(チュ・ミエ)議員は、根本的な解決策として大統領選挙公約でもあった「選択的募兵制」の段階的導入、服務条件の抜本的改善、そして将来的には有人・無人複合戦闘システムの構築など、より先進的かつ持続可能な国防体制への転換が必要であると提言しています。
結論
韓国軍の兵力減少とそれに伴う部隊の統廃合は、単なる数値の変化に留まらず、国家の防衛能力、ひいては朝鮮半島の安全保障環境全体に影響を及ぼす重大な問題です。少子化という避けられない社会構造の変化の中で、いかにして実効的な国防力を維持・強化していくか、韓国政府と軍には喫緊の課題として、多様かつ実用的な解決策が求められています。
参照元:Yahoo!ニュース