岩手で犠牲者過去最多更新:専門家が警告する「冬眠しないクマ」と今後の人身被害予測

10月15日、環境省は2025年度のクマによる犠牲者が7人に達し、過去最多を更新したと発表しました。そのわずか2日後の17日朝、岩手県北上市ではクマ1頭が射殺され、近くから男性の遺体が見つかる痛ましい事件が発生。この「人食いグマ」の可能性に、SNS上では警戒と不安の声が広がっています。果たしてクマによる人身被害はいつまで、どこまで拡大するのでしょうか。専門家からは、クマが冬眠しない可能性まで指摘されています。

「人食いグマ」の脅威:専門家が語る驚異のスピードと生態

日本ツキノワグマ研究所所長の米田一彦氏は、調査中に9回もクマに襲われながらも生還した稀有な経験を持つ、まさにクマ対策のスペシャリストです。同氏によると、クマに遭遇した際に絶対にやってはいけないのは、「背を向けて逃げること」だと言います。クマは敏感に反応し、反射的に襲いかかるためです。

米田氏は「クマの走る速さは時速50~60キロメートルにも達し、オリンピック金メダリストのウサイン・ボルト氏よりも速い」と警告します。もし転倒せずとも、逃げ切るのは極めて困難だというのです。さらに、エサが豊作の年は栄養状態が良いため、クマが寒さに耐え、冬でも歩き回ることがあり、「冬眠しない」可能性すら指摘されています。これは、越冬に向けて体力を温存する必要がないためと考えられます。

山林に立つツキノワグマ。人里に出没し、人身被害が相次ぐ日本の現状を示す山林に立つツキノワグマ。人里に出没し、人身被害が相次ぐ日本の現状を示す

クマ被害の長期化と専門家の衝撃予測

人里に出没するクマの「頻度」と「長期化」は、住民にとって深刻な懸念事項です。米田氏は2023年の取材当時、「2年後(つまり2025年)は今年以上に被害件数が増えるかもしれず、警戒が必要」と予測しており、その言葉はまさに的中してしまいました。

私たちは米田氏に、10月末から12月にかけてのクマ出没と人身被害の動向、さらには2026年から2027年の中期的な見通しについて尋ねました。日本においてクマによる被害が「当たり前の光景」となってしまうのか、その回答は衝撃的でした。専門家の警告に耳を傾け、今後の対策を真剣に考える必要があります。


参考文献