東京都渋谷区の医師、小西悠太郎容疑者(44歳)が、虚偽の処方箋を作成し医薬品を詐取したとして逮捕されました。この広範囲にわたる詐欺事件では、故・安倍晋三元首相の妻である安倍昭恵氏(63歳)の名前や写真も、小西容疑者の詐欺行為に悪用されていたことが明らかになっています。度重なる不正行為が明るみに出た今回の逮捕は、社会に大きな衝撃を与えています。
医薬品詐取で逮捕、被害額は億単位に
小西容疑者が警視庁に詐欺の疑いで逮捕されたのは9月29日のこと。2021年7月から8月にかけて、約400万円相当の医薬品を不正に入手したとされています。具体的には、訪問診療を行っていた高齢者施設の患者2人に対し、無断で抗がん剤などの虚偽の処方箋を作成し、これを薬局に提出していました。容疑者は自ら薬局に足を運び、体の不自由な患者の代理だと偽って薬剤を受け取っていた模様です。「薬を転売し、借金の返済に充てた」と容疑を認めていると、警視庁担当記者は報じています。
この大規模な犯行は、後期高齢者の診療報酬などを医療機関に支払う「東京都後期高齢者医療広域連合」の調査によって発覚しました。同連合によると、小西容疑者の不正により、合計約14億円に及ぶ実体のない診療報酬や調剤報酬が不当に支払われたといいます。これを受け、広域連合は今年1月から3月にかけて損害賠償を求めて小西容疑者を提訴。5月には東京地裁が全額の支払いを命じる判決を下し、その後、刑事告発に至り今回の逮捕となりました。余罪は夥しい数に上るとされており、全容解明が待たれます。
安倍昭恵氏の名前を悪用し1500万円詐取
前代未聞の巨額な詐欺を働いたとされる小西容疑者の被害は、患者や医療機関に留まりません。「安倍元首相のご家族との親密な関係を吹聴していた小西に騙され、1500万円の損害を被った」と都内の飲食店経営者が訴えています。
被害者である飲食店経営者が小西容疑者と知り合うきっかけは、2023年3月末頃、安倍元首相のSPを警視庁時代に務めた経験があるという元警察官からの紹介でした。その元警察官は、小西容疑者のことを「安倍家の主治医」だと紹介し、故・安倍洋子氏(安倍元首相の母で「政界のゴッドマザー」と呼ばれた)の診療も担当していたと説明したといいます。
小西容疑者本人も、同席した場で安倍家との関係を得意げに語っていました。彼は自身が経営する渋谷区道玄坂のクリニックに昭恵氏が来院していると話し、さらに決定的な証拠として、小西容疑者、その娘と思われる幼い女の子、そして昭恵氏の三人がソファで仲睦まじくくつろぐ写真を見せてきたのです。診察衣を身につけた小西容疑者は、まるで急患を診てきたばかりであるかのように振る舞い、屈託のない笑顔で昭恵氏との親しい関係について語ったと、飲食店経営者は語っています。
安倍昭恵氏と写る医師、小西悠太郎容疑者の写真。ソファでくつろぐ様子
今回の逮捕は、有名人の名前を悪用した詐欺の危険性、そして医療現場における不正の深刻さを改めて浮き彫りにしました。警察は、さらなる余罪の捜査を進めるとともに、このような詐欺行為の根絶に向けた対策を強化することが求められます。
参考文献
- Yahoo!ニュース (元記事: デイリー新潮)





