中国官製メディア「琉球は日本ではない」主張の波紋と「国恥地図」が示す領土的野心

最近、中国の官製メディアが相次いで沖縄県の日本帰属に疑問を呈する記事を発表し、国際社会に波紋を広げています。これに対し日本政府は断固たる姿勢を示していますが、この背景には中国が長年執着してきた「国恥地図」と呼ばれる特殊な地図の存在があることが指摘されています。

中国メディアによる沖縄(琉球)の日本帰属問題提起

中国共産党傘下の英字紙チャイナ・デイリー(電子版)は11月15日、「琉球は日本ではない」という見出しで、沖縄にルーツを持つとされる活動家ロバート・カジワラ氏のインタビュー記事と動画を公開しました。さらに、11月19日には共産党機関紙系の環球時報が「琉球学の研究はなぜ必要か」と題する社説を掲載し、1879年以降、琉球諸島の領有権をめぐる歴史的・法的紛争が続いていると主張しています。

これらの報道に対し、日本の木原稔官房長官は12月1日の記者会見で、「中国の報道にコメントする必要はないと思っています。なぜならば沖縄が我が国領土であることには何ら疑いもないからであります」と明確な見解を示し、中国側の主張を一蹴しました。中国との関係は、台湾をめぐる「存立危機事態」に関する国会答弁以降、急速に悪化していますが、こうした中国の領土的主張は近年始まったものではないとされています。

中国の「国恥地図」が示す、沖縄や尖閣諸島を含む広範な領土的野心中国の「国恥地図」が示す、沖縄や尖閣諸島を含む広範な領土的野心

中国が執着する「国境線」と「国恥地図」の謎

中国が国家としての「国境線」に強いこだわりを見せていることは、以前から知られています。2017年には、中国国内にある世界地図を調査し、「認めていない国境線が描かれている」として、3万点あまりを一斉に廃棄した経緯があります。これ以降、外国人であってもビジネスや観光で中国を訪れた際、町の書店で購入した古地図や地図帳を国外へ持ち出そうとすると、税関で厳しい審査を受けるようになりました。もし税関が「違法な地図」だと判断すれば、没収されるだけでなく、罰金や禁固刑になる恐れもあるほどです。

一方で、中国には「立ち返るべき本当の領土」を描いた特殊な地図が存在します。それが、学校教育でも使われてきた「国恥地図」です。この地図こそが、中国の強硬な外交姿勢や領土的野心の起源であると、著書『中国「国恥地図」の謎を解く』(新潮社)で解説する譚ろ美(タン・ルーメイ)氏は指摘します。譚氏が偶然、古書店で入手した「国恥地図」には、現在の中国の国境線をはるかに超えた、驚くべき「国境線」が引かれていたとされています。これは、過去の屈辱的な歴史を背景に、失われたと見なす広範な領域を「本来の領土」として主張する中国の思想を象徴するものです。

まとめ

中国官製メディアによる沖縄の日本帰属を疑問視する主張は、単なる一部の報道に留まらず、歴史的な「国恥地図」に根差した中国の根深い領土的野心の一端を垣間見せるものです。日本を含む周辺国は、中国のこうした動きに対し、国際法に基づいた冷静かつ毅然とした対応が引き続き求められるでしょう。