青木ヶ原樹海の真実:村田らむが語る都市伝説と深淵なる取材の裏側

ライターの村田らむ氏(52)は、「ホームレス」「青木ヶ原樹海」「ゴミ屋敷」「事故物件」といった、世間が目を背けがちな「ミステリーゾーン」に潜入し、その実態を記事にしてきました。彼の活動は多岐にわたり、多数の単行本を執筆する傍ら、現在はYouTubeチャンネル「村田らむのリアル現場主義!!」でも積極的に情報発信を行っています。本記事では、村田氏が長年向き合ってきた青木ヶ原樹海での取材経験、特にその深淵に迫るエピソードと、そこにまつわる都市伝説の真相に焦点を当てます。

青木ヶ原樹海への興味と数々の都市伝説

村田氏がホームレス取材と同時期に青木ヶ原樹海への潜入を開始したきっかけは、意外にも「消去法」でした。イラストレーターからライターに転身したばかりで、芸能やスポーツといったジャンルにはコネクションがなかった彼にとって、現地に行けば「ネタがある」樹海は格好の取材対象だったのです。当時の青木ヶ原樹海には、現在以上に様々な都市伝説が信じられていました。

「一度入ったら出られない」「磁石が効かなくなる」「中に村がある」「野犬がいる」など、数えきれないほどの噂が飛び交っていた90年代末。村田氏はこれらの都市伝説を検証すべく、「本当に出られないのか試してみよう」という純粋な探求心から樹海に足を踏み入れました。まだGPSの精度が低かった時代、彼は白地図と購入したばかりのGPSを持って臨むも、結局はコンパス一つで無事に出ることに成功。都市伝説の一つが、彼の実体験によって打ち破られたのです。

村田らむ氏が語る青木ヶ原樹海での取材経験村田らむ氏が語る青木ヶ原樹海での取材経験

樹海で人生が変わった女性との出会い

村田氏の著書『樹海怪談』にも記されているように、青木ヶ原樹海での取材は、彼自身の人生観だけでなく、他者の人生にも大きな影響を与えてきました。その中でも特に印象的なのが、「死のうと思っているんですけど、樹海を案内してください」と連絡してきた女性とのエピソードです。通常であれば断るべき依頼ですが、村田氏は彼女の話を聞くことを選びました。

彼は、遺体を探すことを趣味とするK氏、そしてその女性の3人で樹海を探索しました。K氏が嬉々として遺体を探す様子を目の当たりにした女性は、「死んだらそうやって探されるの?」「なんか死ぬ気がなくなっちゃった」と語り、自殺への思いを撤回。樹海という過酷な場所での衝撃的な体験が、結果的に彼女の命を救うことになったのです。この女性とは現在も連絡を取り合っており、彼女は元気に生活しているとのこと。強いネタを持っていることから、村田氏の取材に協力してもらうこともあるといいます。

青木ヶ原樹海にまつわる悲しいイメージがある一方で、村田氏の取材は、人間の深い心理や、予期せぬ形で訪れる「生」への転換点も浮き彫りにします。彼の活動は、単なる好奇心を越え、社会の片隅に存在する「リアル」と、それを取り巻く人々の複雑な感情を伝える重要な役割を果たしているのです。

参考資料