兵庫県「芦屋」に世間が抱くイメージは、「富豪が住み、豪邸が並ぶ関西屈指の住宅街」というものではないでしょうか。特に、「東洋一の住宅街」を目指して開発された六麓荘(ろくろくそう)は、桁違いのお金持ちが住んでいる超高級住宅街として知られています。
しかし今、芦屋の様相が変わってきているといいます。入れ替わるお金持ちたち、そしてチャイナタウン化――いったい何が起きているのでしょうか。
本稿は、『誰も知らない「芦屋」の真実』より一部抜粋・編集のうえ、お届けします。
■固定資産税だけで年間600万円ほど!
六麓荘開発当初に建てられた邸宅は、土地面積が平均300〜350坪。六麓荘はその昔、途方もない広さの豪邸ばかりだった。
ところが戦後、日本の経済状況が一変する。富の過度な集中を避けるために制度が変更され、富裕層に大きくのし掛かったのが相続税だ。六麓荘の一戸当たりの敷地面積が随分と縮小されたのも、すべては相続税が原因である。
バブル時代は株や土地でひと儲けした投資家や、新興企業の社長が六麓荘に自宅を持つのがステイタスとなる時代があったが、今のトレンドはパチンコ業界や医療・美容整形業界の社長や医者、弁護士たちだ。
パチンコ業界では業界最大手の「マルハン」や、大阪を中心に全国展開する「パチンコ&スロット123」などの創業者一族が六麓荘に住居を構えた。
500坪や1000坪にもなる大きな敷地では、固定資産税だけで年間600万円ほど納めている人もいる。
いずれも大金持ちのため、「税金が高すぎる」といった文句を言う人はそうそういないと思われるが、遺される家族にかかる相続税に頭を悩ませているのはたしかだ。
将来を見越して遺産相続に詳しい弁護士に相談し、いざというときのために準備している人も多い。
たとえば個人や法人の財産を受託者(信託銀行など)に移転させて、財産の名義を変える。受託者はその財産を管理・運用することで収益を上げていく。
だからこそ、節税対策に法人登記をして、建物を会社の持ち物にしている住民も増えた。法人登記の流れはある意味、仕方のないところではある。
500坪や1000坪を所有しても、六麓荘ではマンション建設ができないから、マンションオーナーになって家賃収入で暮らすこともできない。大豪邸になればなるほど、法人所有の流れが今後も増えるだろう。





