自民党と日本維新の会は2025年11月11日、「副首都構想」実現に向けた実務者協議の初会合を国会内で開いた。副首都は東京一極集中の是正や災害時の首都機能の維持を目的としており、日本維新の会が連立協議で絶対条件と位置付けた政策である。(11月12日付読売新聞オンライン、11月17日最終確認)
この構想は、日本維新の会が25年の参院選の際にマニフェストとして政権公約2025基幹政策(コア・ポリシー)において述べたもので、上に述べた目的に加え、副首都を地方分権等を促進する拠点と位置づけ、東京圏と並びわが国の経済成長を牽引できるような場所にすることを目指している。
首都機能の移転については、22年3月29日の当サイトの記事「叫ばれる首都機能移転 なぜ、進まないのか?」にてメリット、デメリットについて整理したが、それを踏まえつつ、今回の副首都構想を考えるうえで注意すべき点をまとめてみたい。
一極集中の是非
まず、東京への一極集中を問題視し、その緩和と他地域の振興を通じて経済成長を目指すという点は、東京以外の地域の賛同を集めやすいため、首都機能移転の目的として挙げられやすい。しかし、先述の記事で述べたように、東京が都市として本当に過大なのか、東京への一極集中は過度なのかは必ずしも自明ではない。
東京の規模や一極集中の是非を論ずる際には、人口集中がもたらす集積の経済(取引費用の節約や財やサービスの多様性、人的交流を通じたスピルオーバー(拡散)効果などを通じた、人口集中の意図せざるメリット)と、混雑の不経済(混雑や渋滞などを通じた、人口集中の意図せざるデメリット)とのバランスで判断する必要がある。それにもかかわらず、実際は、東京のインフラを含めたキャパシティに対して今の人口規模が過大かという定量的な検証は行われず、過大であることがあたかも常識のように語られている。議論の出発点としてこの点はもう少し丁寧に吟味すべきであろう。






