成績が低下する。仕事や友人を失ってもやめられない。ゲーム依存に関する、初の実態調査の結果が出た。心身に障害をもたらす危険性を十分認識し、早期の対応を図る必要がある。
国立病院機構久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)は、全国の10~29歳を対象に、ゲームに費やす時間や生活への影響について聞き、相関を分析した。
最近の1年について聞いたところ、85%がゲームをしていた。スマートフォンを使うケースが多い。ゲーム時間は平日でも2時間以上が男性4割、女性2割に上った。休日に6時間以上している者も12%いた。
ゲーム時間が長いほど生活に悪影響がある。6時間以上ゲームをしている人で成績や仕事のパフォーマンス低下は3割、昼夜逆転は5割に上った。腰痛など体の問題、睡眠障害など心の問題が起きても続けた人は各4割いる。
6時間以上で、学業に悪影響や仕事を失うなどしてもゲームを続けた人は25%、友人や恋人など大切な人との関係が危うくなってもやめられない人も15%いた。
世界保健機関(WHO)は今年5月、ゲーム依存症(障害)をギャンブル依存症などと同様、「国際疾病分類」で病気と位置づけた。ゲームをしている人の2~3%がゲーム依存症に該当すると推測されている。
ゲームの衝動が抑えられず、生活に問題が出てもやめられない状態が続くことが、病気かどうかの分かれ目だという。
他人と対戦できるオンラインゲームなどが発達し、長時間のめりこみやすい背景もある。優位に立つために課金するシステムもあり、高額な費用負担に苦しむ例もある。ゲームで過度の刺激を長時間受け、脳の損傷や萎縮が起きるなどの研究も報告されている。
厚生労働省研究班の別の調査では中学、高校生のうち1割超がネットへの依存性が高く「病的使用」ともされている。教員や保護者をはじめ、周囲はゲーム依存の危険性など十分理解したい。
久里浜医療センターのように予防や治療の専門機関もあるから、相談をためらうべきではない。自分からやめられないのが依存症の怖さである。
大切な人間関係を失っても、ゲームが手放せないようでは、情報機器の活用とはほど遠い。