1985年8月12日、日本航空123便が群馬・御巣鷹の尾根に墜落し、520名が犠牲となってから40年。この悲劇の中、家族へ「最後のメッセージ」を手帳に残した河口博次さん。娘・真理子さんの思いと、遺族として航空安全に寄せる願いに迫ります。
40年を経た父への思い
事故で亡くなった河口博次さんは当時52歳でした。娘の真理子さん(現在64歳)は、「今思えば父は若かった。私より12歳若い父が、どれほど無念だったかと」と振り返ります。
日本航空123便墜落事故の犠牲者、河口博次さんと娘の真理子さん
機内で綴られた家族への「最期の言葉」
「今ならみんな携帯で打つのでしょうね…」真理子さんはそう呟き、父・博次さんの手帳を見せてくれました。墜落直前の123便機内で家族に宛てて書かれた“言葉”がそこに。
『マリコ 津慶 知代子 どうか仲良くがんばって ママをたすけて下さい パパは本当に残念だ きっと助かるまい 原因は分らない 今5分たった』
機体乱高下の中、力を込めて書かれた筆圧は、ページの裏側にもくっきりと跡を残しています。真理子さんは「ものすごい念がこもっている。魂がのめり込んでいるかのようです」と、その切実さを語りました。
日本航空123便墜落事故で父を亡くした河口真理子さんが手帳を手に取材に応じる様子
日本航空123便墜落直前の機内で河口博次さんが家族へ残した手書きのメッセージ
219文字に込められた「感謝」と「別れ」
博次さんの「メッセージ」は、合計219文字に込められていました。
「もう飛行機には乗りたくない どうか神様 たすけて下さい きのうみんなと 食事したのは 最后とは 何か機内で 爆発したような形で 煙が出て 降下しだした どこえどうなるのか 津慶しっかりた(の)んだぞ ママ こんな事になるとは残念だ さようなら子供達の事を よろしくたのむ 今6時半だ 飛行機は まわりながら急速に降下中だ 本当に今迄は 幸せな人生だった と感謝している」
この手帳は事故現場から奇跡的に回収され、家族への深い愛情と人生への感謝を伝えます。
河口博次さんが最期に残したメッセージには、家族への揺るぎない愛情と、生きた証、そして「安全」への切実な願いが込められています。この悲劇の記憶を風化させず、遺族の思いを受け継ぎ、未来の航空安全を守り続けることこそが、私たちの使命です。
出典: Yahoo!ニュース