動画配信サービス大手ネットフリックスは11日、英国のヘンリー王子とメーガン妃が引き続き同社向けに作品を制作していくことを発表しました。ただし、今回の契約は以前よりもその形態が限定的なものへと変更されています。2020年からネットフリックスと協力してきた夫妻の制作会社アーチウェル・プロダクションとネットフリックスとの関係は、新たな局面を迎えることになります。
2024年5月に撮影された、ネットフリックスとの契約更新を発表したヘンリー王子とメーガン妃の資料写真
過去の成功作品と新しい契約形態
英王室を離れて現在は米国を拠点に活動しているヘンリー王子夫妻は、2020年にネットフリックスと最初の契約を締結し、これまでに複数のプロジェクトを手掛けてきました。特に、夫妻の関係や英国王室離脱の経緯を追ったドキュメンタリーシリーズ「ハリー&メーガン」は、高い注目を集めました。また、メーガン妃がホストを務めるライフスタイル番組「ウィズ・ラブ、メーガン」では、米カリフォルニア州を舞台に、ゲストとの交流やハチミツの収穫、バスソルトの調合といった家庭的な一面が描かれています。この番組は第2シーズンの配信と12月のホリデースペシャル配信が決定しています。
新しい契約は「ファーストルック契約」と呼ばれる形式です。これは、夫妻の制作会社アーチウェル・プロダクションが今後制作する作品について、他のスタジオに売り込む前にネットフリックスが優先的にその内容を審査し、制作の判断を下せる権利を持つことを意味します。これにより、ネットフリックスは潜在的なヒット作を他社に先駆けて確保できる一方、夫妻側は作品ごとにネットフリックスの承認を得る必要があります。
両者のコメントと契約金額の憶測
今回の契約延長に際し、メーガン妃は「ネットフリックスとのパートナーシップを延長し、『As ever』ブランドを含む共同作業を拡大できることを誇りに思う」とコメントしました。また、ネットフリックスのベラ・バジャリア最高コンテンツ責任者も、ヘンリー王子とメーガン妃を「その物語が世界中の観客に共鳴する影響力ある声」と評価し、今後の提携に期待を寄せました。
2020年の最初の契約時には、その金額が1億ドル(当時の日本円で約148億円)に上ると報じられましたが、この数字は公式には確認されていません。今回の延長契約における具体的な条件や金額についても非公表となっています。しかし、米紙ニューヨーク・タイムズは関係者の話として、新しい契約は前回のものよりも金額が減ったと伝えており、契約形態の変化に伴う条件の見直しがあった可能性が示唆されています。
番組の視聴実績と評価
これまでに配信された夫妻の作品は、視聴者から大きな関心を集めています。「ハリー&メーガン」は全6話構成で、配信開始から最初の4日間で2300万回視聴されるという記録を達成し、ネットフリックスのドキュメンタリー作品としては過去最高の視聴回数を記録しました。また、「ウィズ・ラブ、メーガン」も批評家からの厳しい評価があったにもかかわらず、2025年上半期には500万回以上視聴され、同社の料理番組の中で最多視聴数を記録するなど、そのコンテンツは世界中の視聴者に届いています。
まとめ
ヘンリー王子とメーガン妃、そしてネットフリックスとの提携は、新たな「ファーストルック契約」という形で継続されることになりました。これは、夫妻の影響力ある「物語」が今後もネットフリックスを通じて世界に発信されることを意味する一方で、その制作体制には以前よりも限定的な側面が加わったことを示しています。今後の作品展開と、この新たなパートナーシップがもたらす影響に注目が集まります。
参考文献
- AFPBB News
- 時事通信
- 米紙ニューヨーク・タイムズ