「みんな、血まみれで亡くなっていた」味方戦艦同士の衝突事故も…旧日本軍将校が振り返る“史上最大の海戦”の惨状


【衝撃画像】味方艦と衝突して損傷した「戦艦最上」を写真で見る

「史上最大の海戦」と称されることもある、第二次世界大戦で日米が激しい戦闘を繰り広げたレイテ沖海戦。「神風特別攻撃隊」が初めて組織的に運用された戦場とされ、旧日本軍は総力を注ぎ込むも壊滅的な打撃を受けた。

 この戦場では、指揮系統が混乱して旧日本軍の戦艦同士が衝突するという事故も起こっている。 『 生還特攻 4人はなぜ逃げなかったのか 』(戸津井康之著、光文社)から一部抜粋し、お届けする。(全3回の2回目/ 続き を読む)

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「皆、全身、血まみれになって、亡くなっていたのです」

「着弾した衝撃で、目の前の甲板が大きく変形しながらめくれ上がっていきました。私は伝令として艦橋へ駆け上がりました」

 その直後だった。「最上」の艦橋を敵弾が直撃したのだ。急いで艦橋に駆け上がった加藤は、己の目に飛び込んできた光景に衝撃を受けた。

「無残に破壊された艦橋のなかで、艦長も副長も、そして多くの上官たちが、皆、全身、血まみれになって、亡くなっていたのです」

 新任少尉として初めて「最上」に着任したとき。 「お前に言われなくても分かっておるわっ!」と怒鳴られた、あの藤間艦長はもう二度と指揮を執ることはできない。

「我々、士官に命令を出す艦長は、もういないのか……」

 戦場で指揮官を失う。この最悪の緊急事態の意味を、加藤は「最上」艦内で突きつけられた。艦橋への被弾は深刻だった。艦長や副長たち防空指揮所で指揮を執っていた「最上」幹部のほとんどがこの一撃で即死していたのだ。「最上」は完全に指揮系統を奪われた。

「この想像もしなかった緊急事態に、生き残った砲術長が指揮を執ることになりました。一番上の階級だったからです。砲術長は、『このままレイテへ突っ込もう!』と言いましたが、私たちは猛反対しました。もう『最上』は8ノットも出ない。弾薬も撃ち尽くして残っていないのに、どうやって敵艦隊のなかへ突っ込んで戦うのですか!』と食い下がりました」



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