伊東市長・田久保眞紀氏の学歴詐称疑惑、百条委員会証人尋問での対応と波紋

静岡県伊東市の田久保眞紀市長(55)を巡る学歴詐称疑惑が新たな局面を迎えました。これまで市議会の特別委員会(百条委員会)への出頭を拒否してきた田久保市長が、ついに証人として姿を現したのです。この問題は、市長の経歴に関する記載が虚偽であるとの告発を契機に浮上し、市民の間で大きな関心を集めています。

疑惑の経緯と百条委員会の目的

田久保市長は、市の広報誌に「東洋大学法学部卒業」と自身の経歴を記載していました。しかし、今年6月に市議会に提出された告発文により、この学歴が虚偽であるとの疑いが持ち上がります。後に市長が大学に確認した結果、卒業ではなく「除籍」されていたことが判明しました。一方で、市長自身は卒業証書を所有していると主張していますが、公職選挙法違反で刑事告訴されていることを理由に、その現物を公表していません。

問題を調査する百条委員会は、この卒業証書の提出と市長の出頭をこれまで二度にわたり要求していました。今回の出頭が拒否された場合、市議会は市長を刑事告発する方針を固めており、証人尋問は市長にとって避けて通れない状況となっていました。

伊東市の広報誌に掲載された田久保眞紀市長の「東洋大学卒」と記載されたプロフィール写真伊東市の広報誌に掲載された田久保眞紀市長の「東洋大学卒」と記載されたプロフィール写真

証人尋問での田久保市長の発言内容

8月13日に行われた証人尋問で、田久保市長は従来の主張を繰り返すにとどまり、新たな事実はほとんど明らかになりませんでした。卒業の認識については、「(6月28日に東洋大学に確認して初めて)卒業ではなく除籍だと知った」と述べました。また、争点となっていた卒業証書の提出については、「(提出すれば)刑事訴追につながる恐れがある」と記した回答書を既に委員会に提出しているとし、改めて拒否しました。

尋問後、田久保市長は囲み取材に応じ、「百条委員会でのお答えは、非常に重いものと受け止めています。万が一、事実と違うようなお答えをした場合、委員長からも説明があった通り、罰則もございます。そういった中で、質問をいただいたことに対して、きちんと自分のなかで事実関係で責任を持って、お答えできることをお答えしたと考えております」と述べ、自身の発言に自信を見せました。

伊東市長・田久保眞紀氏が百条委員会での証人尋問後、囲み取材に応じる様子伊東市長・田久保眞紀氏が百条委員会での証人尋問後、囲み取材に応じる様子

囲み取材での態度の変化と市民からの疑問の声

囲み取材の冒頭、田久保市長は厳しい質問に対しても笑顔を崩さずに対応していました。しかし、取材が後半に差し掛かり、卒業証書の公開に関する質問が集中すると、その対応に変化が見られ始めました。

記者の質問に対し、田久保市長は「はい、はい、はい」と相槌を連呼し、「答えないのではなく、私の方としましては、弁護士に必要なことは相談しておりますし、表に出てきているのは1名ですけれども、他の弁護士さんも含めて、助言はいただいております。それを加味しまして、どのように扱うかは、諮って決めております。以上でございます」と回答しました。

さらに、「警察の話をされましたが、ご自身の判断で公表されるのが可能なものが、金庫に入っている卒業証書です。ご自身の考えはいかがですか?」と追及されると、市長は再び「はい、はい、はい」と連呼し、体を揺らしながら、「何度も重ね重ねで本当に申し訳ないんですが、刑事告訴されておりますので、重要な書類、証拠となるものの扱いについては、弁護団も含めまして何度も協議をしております。その上で決定しまして、なぜ提出しないのかについても申し訳ないんですが、何回も書面の方で委員会の方にお示ししています」と、従来の主張を繰り返しました。

この発言の後、田久保市長は「失礼いたします」と囲み取材を切り上げましたが、記者からは「まだ終わってないです、ご質問ある方いらっしゃると思います」という呼びかけも聞かれました。会見の様子は各局のYouTubeでも生配信され、視聴者からは「顔つきが変わりましたね。イライラしてる人の顔だ」「反省が見えない」「めっちゃ逆ギレしてんじゃん」といった、市長の対応を疑問視する声が多数上がりました。

結論

今回の百条委員会での証人尋問とそれに続く囲み取材では、田久保市長の学歴詐称疑惑に関する新たな進展はほとんど見られず、卒業証書の提出も拒否されたままとなりました。市長は自身の発言に責任を持つと強調しましたが、具体的な説明や証拠の提示はなされず、むしろ取材中の態度が市民の間に新たな疑問を投げかける結果となりました。今後、この問題がどのような形で決着するのか、引き続き市民の注目が集まっています。


参考文献