13日、韓国の首都圏(仁川、京畿道、ソウル)を襲った「局地豪雨」は、時間雨量が100ミリを超える記録的な規模となり、広範囲にわたり甚大な被害をもたらしました。交通事故による死者や建物の崩落、道路の冠水、交通機関の麻痺など、市民生活に深刻な影響が出ており、当局は緊急警戒態勢を敷いて対応に追われています。
豪雨による悲劇:複数地域で死亡事故が発生
仁川での痛ましい転落事故
13日午前7時20分頃、仁川中区雲西洞では40代男性Aさんの車が雨でスリップし、調整池に転落する事故が発生しました。警察の防犯カメラ映像によると、Aさんの車両は急に方向を変え、フェンスが途切れた場所から落下したとされます。目撃者の通報を受け、救助隊が駆けつけましたが、約1時間半後に車が引き揚げられた際、Aさんはすでに死亡が確認されました。近くのホテル従業員であったAさんの突然の死は、今回の豪雨がもたらした悲劇を象徴しています。
金浦でも犠牲者:河川での車両発見
京畿道金浦市でも死亡事故が確認されました。金浦消防署によると、金浦テポ川一帯の河川で発見された車の後部座席から、80代と推定される男性運転者の遺体が見つかりました。金浦市では正午時点で1時間の雨量が101.5ミリを記録しており、急激な水位上昇が事故の背景にあると見られています。
都市機能への広範囲な影響とインフラ被害
建物・施設の崩落と市場の冠水
仁川では、東区松現洞のアパート団地で塀や構造物が崩壊する被害が発生しました。さらに、西区の正西津中央市場や江南市場も大規模に冠水し、消防当局が緊急の安全措置を実施しました。仁川消防当局は同日午後1時までに、豪雨による被害通報が合計210件に達したことを明らかにしています。
仁川市西区の正西津中央市場が豪雨により冠水している様子。集中豪雨による深刻な被害を示す光景。
交通機関の麻痺と大規模な規制
交通網も大きく混乱しました。仁川交通公社は、駅舎が冠水した朴村駅の運行を一時中断していましたが、午後2時15分には復旧作業が完了し、運行を再開しました。しかし、午前中には仁川市南区の朱安駅から富平区の富平駅までの京仁線の列車運行も約1時間にわたり中断されるなど、市民の足に大きな影響が出ました。ソウル市内でも東部幹線道路や内部循環路を含む主要道路7カ所が冠水のため通行止めとなり、河川敷の駐車場や29カ所の河川全域も閉鎖されました。恩平区のヨンシンネ駅周辺商店街やオリンピック大路の一部も冠水し、車両通行が規制されました。
当局の緊急対応と救助活動
仁川市は午前8時35分に非常2段階を発令し、約1500人の公務員が非常勤務体制に入りました。同様に、京畿道も正午を基準に非常2段階を発令し、高陽市、南楊州市、坡州市など一部自治体では河川水位の急上昇を受け、周辺住民に避難命令が出されました。
孤立した市民の救助活動も活発に行われました。午後1時20分頃、高陽市徳陽区内谷洞のビニールハウスで6人が冠水により孤立していましたが、119隊員によって無事救助されました。また、楊州市では午後0時30分頃、冠水した路上で車両3台から計4人が、同じ時間帯には山荘で孤立した12人が間一髪で脱出に成功しました。京畿北部警察庁によると、午前5時から午後1時までに受け付けられた112通報は合計207件で、そのうち道路冠水が131件、車両浸水が19件、住宅・店舗冠水が12件に上り、警察は35カ所で交通規制を実施しています。
今後の見通しと気象庁からの警報
ソウル市も午前10時30分に危機警報レベルを「注意」から「警戒」に引き上げ、市職員355人と25区の職員約6300人が非常勤務体制を維持するなど、警戒を強めています。気象庁は午後3時10分の予報で、14日午前まで首都圏を中心にさらに70ミリ前後の非常に強い雨が降る見込みだと発表しました。これに伴い、土砂崩れ、堤防の決壊、施設の浸水など、さらなる事故の発生に厳重な注意を払うよう呼びかけています。
今回の韓国首都圏における記録的な豪雨は、短時間で広範囲に甚大な被害をもたらし、複数の人命が失われる痛ましい結果となりました。交通インフラの麻痺や都市機能への影響は大きく、市民生活に与える打撃は深刻です。各自治体および気象当局からの警報と避難指示に厳重に従い、今後の予報にも最大限の注意を払い、安全を最優先とする行動が求められます。早期の復旧と被害の拡大防止が喫緊の課題となっています。
参考文献
Source link: https://news.yahoo.co.jp/articles/fb7b15bab3eeddf2b1141de347142b1b5eac0c81