練馬区が住民立ち退き伴う公園整備で矛盾する説明


 同計画は現存する樹林地である同公園を含む周辺約10ヘクタールを、新たな稲荷山公園として整備しようというものだ。現公園周辺の住民に立ち退いてもらうことが前提で、対象は約500世帯、約1000人にのぼるとみられる。区は当初、23区内でも貴重な自然資源である多年草植物「カタクリ」を守ることを計画の目的に掲げ、「対象地域内の市街化進展により貴重な資源が減少している。食い止めるには全体を公園化するしかない」と説明。これに対し、住民が主催した区との意見交換会では「カタクリのために追い出されるのか」との声も漏れたほどだ(本誌2023年11月17日号既報)。

 ところが6月30日、専門家委員会で区は突然カタクリを直接保全する方策を打ち出した。昨年度に実施の自然環境調査でカタクリの株数は増えたが開花数の減少などが見られたため、その原因とみられる土壌の乾燥化を防ぐ方策などに取り組みたい、というのだ。

 これは区が当初主張した推進理由とは明確に矛盾する。それでカタクリが守れるなら樹林地外の住宅を撤去・更地化してまで公園化する必要などまったくないからだ。区の説明自体が、計画の必要性を疑わせる事態になってきた。

木下寿国・ライター



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