ジム・ロジャーズが警鐘!「オルカン」投資の落とし穴と今注目すべき新興国市場

シンガポール在住のファイナンシャルプランナー、花輪陽子が、世界的な投資家ジム・ロジャーズ氏の最新の投資見解をお届けします。日本では新NISAのスタートにより、投資熱が高まる中、「『オルカン』(eMAXIS Slim全世界株式)に投資すれば良い」という意見が主流となりつつあります。しかし、ロジャーズ氏はこの風潮に対し、異なる、そしてより慎重な見方を示しています。本記事では、ロジャーズ氏が指摘する「オルカン」投資の潜在的リスクと、彼が現在注目する意外な投資先について深く掘り下げ、読者の皆様の賢明な投資判断の一助となる情報を提供します。

「オルカン」投資は本当に安全か?ジム・ロジャーズ氏の鋭い視点

多くの個人投資家にとって、手軽さと手数料の安さから「インデックス投資」は魅力的な選択肢です。ジム・ロジャーズ氏も、各国の代表的な指数に連動するETF(上場投資信託)や投資信託への投資であるインデックス投資が、少額から始められ、分かりやすいという大きな利点を持つことを認めています。そのため、個人投資家にとっては有効な手段であるとしながらも、彼はその裏に潜むリスクと、投資家が常に備えるべき心構えを強調します。

「インデックス投資を行う場合でも、その商品の構成銘柄やパフォーマンス、市場の動きとの連動性を十分に理解することが不可欠だ。そして、市場が大きく変動するような事態が発生した際には、冷静かつ適切な行動をとる準備を常にしておくべきだ」とロジャーズ氏は警鐘を鳴らします。投資に「絶対に勝てる方法」は存在しないという前提に立ちながらも、彼は「投資はそれほど難しいものではない」と語り、自身の投資の基本は「安く買って、高く売る」という普遍的な原則に尽きると述べ、現在もこの哲学を忠実に守り続けていると言います。

現在の「オルカン」(eMAXIS Slim全世界株式)の構成銘柄を見ると、やはりアメリカの巨大企業の割合が非常に高いことが分かります。ロジャーズ氏は、この状況に対し「すでに高値になっているリスクがある」と指摘します。皆がこぞって保有し、最高値を更新し続けている銘柄は、そのブームが去った際に、逆に最も大きく下落する可能性を秘めているからです。

また、インデックス型投資商品は、市場が下落局面に転じると、多くの投資家が売りに走る傾向があるため、本格的な下げ相場においては、価格が大きく変動するリスクを内包しています。ロジャーズ氏の「安く買って、高く売る」という投資法は、この原則に基づき、現在低迷している中国株やその他新興国株を保有する一方で、すでに高値を更新し続けている先進国の株式は売却済みであると述べています。

世界的な投資家ジム・ロジャーズ氏が「オルカン」の割高リスクを指摘し、インデックス投資への見解を語る世界的な投資家ジム・ロジャーズ氏が「オルカン」の割高リスクを指摘し、インデックス投資への見解を語る

次なる投資の地平:ジム・ロジャーズ氏が注目するウズベキスタン

では、ジム・ロジャーズ氏の視線は現在、どの地域に向けられているのでしょうか。「安く買って、高く売る」という彼の投資哲学は、まさに今、市場で低評価されているものの、将来的な成長潜在力を秘めた地域へと彼を導いています。彼が特に注目しているのは、中央アジアに位置するウズベキスタンです。

ウズベキスタンは、ソビエト連邦の崩壊以降、長らく国を閉ざし、専制的な政治体制を維持してきました。しかし、2016年にシャフカット・ミルジヨーエフ大統領が就任して以降、その政策は大きく転換しました。ミルジヨーエフ大統領は、国の繁栄には国際社会への開放が不可欠であると認識し、他国との関係構築と貿易の拡大を積極的に推進する方針を打ち出しました。

この政策転換により、ウズベキスタンは経済の自由化を進め、外資誘致にも力を入れ始めています。豊かな天然資源、比較的若い労働力、そして中央アジアの十字路という地理的優位性を持つウズベキスタンは、改革の進展とともに大きな経済成長を遂げる可能性を秘めているとロジャーズ氏は見ているのです。彼は、このようにまだ多くの投資家が目を向けていないが、本質的な変化の兆しがある市場にこそ、真の投資機会が存在すると考えています。

結論:流行に流されず、本質を見抜く投資戦略

ジム・ロジャーズ氏の考察から、現在の日本の投資トレンドである「オルカン」への盲目的な投資には慎重な姿勢が必要であること、そして彼が将来性を見出すウズベキスタンのような新興国への投資戦略が浮き彫りになりました。市場の流行に安易に乗るのではなく、本質的な価値と長期的な成長潜在力を見極めることの重要性を、ロジャーズ氏は私たちに再認識させてくれます。

「安く買って、高く売る」という普遍的な投資原則は、時代や市場の状況が変化してもその価値を失いません。読者の皆様には、ご自身の投資判断を下す上で、多角的な情報収集と、あらゆるリスクを考慮した上でのポートフォリオ管理の徹底を強く推奨します。


参考文献:

  • ジム・ロジャーズ著『世界大激変:混乱する世界をどう読むか』
  • Yahoo!ニュース: ジム・ロジャーズ氏が警鐘!「オルカン」投資の危険性…彼が今注目する投資先とは (元の記事を参照)