米露首脳会談、ウクライナ停戦へ初の対面協議:トランプ・プーチン両氏の焦点と提案

米アラスカ州アンカレジの米軍エルメンドルフ・リチャードソン統合基地で、ドナルド・トランプ米大統領とウラジーミル・プーチン露大統領が15日(日本時間16日)に会談を行います。ロシアによるウクライナ侵略開始以来、両首脳による対面会談はこれが初めてとなり、停滞する停戦交渉の打開が最大の焦点となっています。

会談の詳細と両首脳の思惑

会談は15日午前11時(日本時間16日午前4時)に開始される予定で、会談後には共同記者会見の開催も調整されています。トランプ氏とプーチン氏が直接顔を合わせるのは、2019年6月以来、約6年ぶりとなります。

会談に先立ち、トランプ氏は15日に大統領専用機内で記者団に対し、ロシアが占領するウクライナ領土の一部返還などを想定した「土地の交換」について、「ウクライナに決めさせなければならない」と発言しました。また、ロシアの再侵略を防ぐ「安全の保証」に関しては、北大西洋条約機構(NATO)ではなく、「欧州や他の国々と一緒に(米国が)提供する可能性はある」と述べ、多角的な枠組みでの安全保障を示唆しました。

米ワシントン郊外アンドルーズ空軍基地で大統領専用機に乗り込むトランプ大統領米ワシントン郊外アンドルーズ空軍基地で大統領専用機に乗り込むトランプ大統領

領土問題と停戦交渉の行方

今回の米露首脳会談で重要なポイントとなるのは、ロシアが一方的に併合を宣言したウクライナ東・南部のドネツク、ルハンスク、ヘルソン、ザポリージャの4州の扱いです。ロシアはこれらの4州と、2014年に併合を宣言したクリミア半島について、自国への編入の国際承認を求めてきました。

トランプ氏はこれまで、停戦実現に向けてロシアとウクライナの間で「土地の交換が行われる」と繰り返し主張してきました。しかし、フランスのエマニュエル・マクロン大統領によると、13日に行われたウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領や欧州首脳らとのオンライン協議で、トランプ氏から米露首脳会談では「領土問題は検討しない」との言質を取ったとされています。このため、会談でどのような提案や協議が行われるか、その具体的な内容に大きな注目が集まっています。

経済的インセンティブの可能性

イギリスのデイリー・テレグラフ紙(電子版)は、ロシア側が停戦を受け入れる場合、トランプ氏が会談でアラスカ州の天然資源開発権益を譲渡する「経済的インセンティブ(動機付け)」を提示する可能性を報じました。トランプ氏自身も14日の米FOXニュースのラジオ番組で、「経済制裁と経済的なインセンティブを与えることは、どちらも非常に強力な措置だ」と述べ、経済分野を絡めた取引を検討していることを示唆しています。

まとめ

今回のトランプ・プーチン会談は、ウクライナ紛争の停戦交渉に新たな局面をもたらす可能性があります。特に、ウクライナの領土問題、新たな安全保障の枠組み、そして経済的誘因の提示といった多岐にわたる課題が議論の対象となる見込みです。国際社会は、両首脳がどのような提案を行い、それが紛争解決に向けて具体的な進展をもたらすのかを注視しています。

Source: https://news.yahoo.co.jp/articles/a2d1090b54a3a13f5d93146f4772806437c278ba