年金受給額と生活保護の格差に募る不満:83歳女性の告白と国民年金基金の意義

長年にわたり年金を納め続けてきたにもかかわらず、月の受給額がわずか数万円に留まる現状に、多くの高齢者が静かな不満を募らせています。一方で、生活保護受給者は医療費が無料であるなど、手厚い保障を受けている実態が、年金生活者との間に不公平感を生み出しています。このような高齢者の生の声は、登録者数12万人を超えるYouTubeチャンネル『梅子の年金トーク!』が詳細に伝えています。本記事では、年金制度が抱える課題と、自営業者などを対象とした国民年金基金の役割について深掘りします。

高齢者が抱える年金への静かな不満とその背景

年金は、老後の生活を支える大切な柱ですが、その受給額が生活を成り立たせるには不十分だと感じる高齢者が少なくありません。特に、定年まで真面目に働き、年金を納めてきたにもかかわらず、手取りが月に数万円程度しかない現状は、多くの不満の種となっています。この不満に拍車をかけているのが、生活保護制度との比較です。生活保護受給者は医療費が免除され、最低限度の生活が保障される一方、年金のみで生活する高齢者は、医療費の自己負担や物価高騰に直面し、日々の生活に苦慮しています。こうした状況は、年金制度への信頼を揺るがし、社会全体での公平性への問いかけを促しています。

83歳女性のリアルな年金生活:月8万円の苦闘と後悔

「いまが人生で一番不幸」と語るのは、83歳の独身女性です。彼女は現在無職で、持ち家に一人暮らし。国民年金と国民年金基金を合わせて月に約8万円の年金で生活しています。以前は水商売や介護の仕事をしていましたが、76歳で体を壊して引退。蓄えはなく、マンション購入に全てを費やしたと言います。

現在の生活は「ギリギリで残らない」状況。「節約しようと思えばいくらでもできるけれど、気がいいから周りにお金を使ってしまう」と苦笑します。これまでの人生を振り返り、「全部後悔している」と語る彼女の言葉には、年金だけで生活することの厳しさ、そして先の見えない不安がにじみ出ています。この事例は、年金受給額が少ない高齢者が直面する現実の一端を示しており、多くの共感を呼んでいます。

節約を意識しながら年金で生活する高齢者の手元節約を意識しながら年金で生活する高齢者の手元

国民年金基金とは?自営業者の老後を支える公的個人年金

上記の83歳女性が加入している「国民年金基金」は、自営業者やフリーランスなど、国民年金の第1号被保険者がより豊かな老後を送るために、国民年金に上乗せして加入できる公的な個人年金制度です。厚生年金に加入できない国民年金のみの被保険者は、老後の受給額が厚生年金加入者と比べて少なくなる傾向にあります。この格差を補い、老後の生活資金を増やせるよう設計されています。

国民年金基金は、厚生大臣(当時)の認可を受けた公的な法人である国民年金基金連合会が運営しており、その信頼性は高いと言えます。

国民年金基金の加入条件と注意点

国民年金基金に加入できるのは、原則として日本国内に居住する20歳以上60歳未満の国民年金第1号被保険者(自営業者、自由業、学生など)です。また、60歳以上65歳未満で国民年金に任意加入している方や、海外在住で国民年金の任意加入をしている方も対象となります。

ただし、以下の場合は加入できません。

  • 厚生年金保険に加入している会社員(国民年金の第2号被保険者)
  • 厚生年金保険に加入している方の被扶養配偶者(国民年金の第3号被保険者)
  • 国民年金の保険料を免除(一部免除、学生納付特例、納付猶予を含む)されている方
  • 農業者年金の被保険者の方

例外として、障害基礎年金受給者などで国民年金保険料免除期間納付申出書を年金事務所に提出した場合や、産前産後期間の免除を受けている場合は加入が可能です。国民年金基金は、将来の生活設計を考える上で重要な選択肢の一つと言えるでしょう。平均で月に1万7000円程度を上乗せできるとされています。

結論:年金制度の課題と自助努力の重要性

年金受給額が少ない高齢者の不満や、生活保護受給者との格差は、日本の社会保障制度が抱える複雑な課題を浮き彫りにしています。83歳女性の生の声は、金銭面だけでなく精神的な「不幸」にも繋がる年金生活の厳しさを物語っています。このような現状を踏まえ、自営業者など厚生年金に加入できない人々にとって、国民年金基金のような自助努力を促す制度の重要性は増しています。将来の不安を軽減するためにも、自身の年金制度への理解を深め、利用可能な制度を検討することが、豊かな老後を迎えるための第一歩となるでしょう。


参照:

  • 梅子の年金トーク!『聞くのがこわい年金の話 年金、いくらですか?』(興陽館)
  • 国民年金基金ホームページ
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