神戸殺害事件、谷本将志容疑者の社長が語る「裏切られた気持ち」前科も明らかに

「僕は彼を自分の子どものように接していたんですが、もう裏切られたという気持ちでしかありません。その一言です。亡くなられた片山さんは本当にお気の毒で……」──8月22日、殺人容疑で逮捕された谷本将志容疑者(35)がドライバーとして勤務していた都内の会社の社長は、怒り交じりに胸の内を語った。この男性は、従業員が犯したとされる事件と、谷本容疑者の過去の逮捕歴について重い口を開いた。

神戸殺害事件容疑者・谷本将志の勤務先社長が心境を語る様子 (共同通信)神戸殺害事件容疑者・谷本将志の勤務先社長が心境を語る様子 (共同通信)

神戸マンション殺害事件の概要と谷本容疑者の逮捕

事件は8月20日午後7時20分ごろに発生した。谷本容疑者は神戸市中央区のマンション内で会社員の片山恵さん(24)を刺殺した後、現場から逃走。しかし、兵庫県警捜査本部によるリレー捜査の甲斐もあり、事件からわずか2日後の夕方には、東京都奥多摩町内で身柄が確保された。この逮捕は、事件の早期解決に向けた警察の迅速な対応を示すものとなった。

谷本将志容疑者の過去と勤務状況

全国紙記者によると、谷本容疑者には衝撃的な過去があった。2022年5月には、別の女性が住むマンションに侵入し、首を絞めて殺人未遂の疑いで逮捕され、傷害罪で起訴されているという。この前科は、今回の事件に先立つ彼の行動パターンの一端をうかがわせるものだ。

彼の職歴を見ると、2023年1月に千葉の会社に就職した後、同年5月からは冒頭で触れた社長が経営する都内の会社でドライバーとして働き始めていた。社長によると、谷本容疑者の勤務態度は至って真面目だったという。しかし、8月17日から夏季休暇に入って以降、出社予定だった22日になっても寮に帰らず、音信不通の状態が続いていた。

社長はこう明かす。「実は今年のお正月休みも、出社予定の日に出勤しなかったんです。その時は親族が怪我をしたので面倒を見ないといけないという話で、1週間ほど休みを延長しました。しかし今回で2度目なので、8月31日までに帰って来なければ寮の荷物を片付けるとメッセージで伝えましたが、返信は来ず、電話も出てくれない。うちの社員たちも皆心配して連絡しましたが、全く返信はありませんでした」。

社長が抱く複雑な感情「まさか、こんな事件を」

社長は、信頼していた従業員がこのような事件を起こしたことに、ショックを隠しきれない様子だった。「本当に、こういう事件を起こすような奴じゃないんです。すごくいい奴だったんです」と、谷本容疑者に対する評価と、今回の事件との間の大きなギャップに困惑を隠せない。まるで自分の子どものように接していたという言葉からは、谷本容疑者への深い信頼と、それが裏切られたことへの痛みがにじみ出ていた。この事件は、身近な人間の意外な一面が露呈したことによる、周囲の深い心の傷も浮き彫りにしている。

今回の神戸マンション殺害事件は、谷本将志容疑者の過去の犯罪歴や、彼を知る人物からの意外な証言が明らかになるにつれ、その全貌が徐々に明らかになりつつある。警察の捜査が今後どのように進展し、事件の動機や背景がどこまで解明されるのか、日本社会の注目が集まっている。