ロシアが軌道上で核による破壊工作を行う懸念 「宇宙版・真珠湾攻撃」に警戒


ウクライナを支援する西側諸国に対してロシアが秘密裏の破壊工作を強化するなか、ソ連の革命家レーニンやスターリン以来、ロシアに100年にわたる蓄積がある破壊工作のノウハウは、今度は地球低軌道の領域での破壊に向けられるおそれがある。英キングス・カレッジ・ロンドンの研究者で、ロシアの宇宙兵器や情報活動の専門家であるエレナ・グロスフェルドは、筆者のインタビューでそうした見解を示した。

ロシアは核弾頭を搭載した対衛星ミサイルを軌道上に配備する極秘プロジェクトを進めている。このプロジェクトは先ごろ米国の情報機関によって発見された。とはいえ、地上数百kmで核爆弾が起爆された場合、間違いなく北大西洋条約機構(NATO)による迅速な対応を招くだろうとグロスフェルドは言う。

■「もっともらしい否認」ができる偶然を装った核爆発

それほど露骨ではない攻撃として、核を動力源とする宇宙機が「偶発的」に爆発するというものが考えられる。この場合も同様に西側の衛星のかなりの割合が破壊される可能性があるが、ロシアは「もっともらしい否認」によって煙幕を張ることができるとグロスフェルドは説明する。

彼女によると、ロシアの国営宇宙企業ロスコスモスはすでに、先駆的な任務のための防衛用試作機とみられる衛星をバンアレン帯の高放射線域の縁に近い軌道に打ち上げ、投入している。

核推進の宇宙機を遠隔起爆してこの軌道帯で破壊を起こせば、バンアレン帯の放射線レベルが上昇し、それによって近傍の衛星が連鎖的に破壊されたり、損傷したりすることになる。

■クレムリンにとって破壊工作の都合が良い点

グロスフェルドによれば、この種の破壊工作の好都合な点は、それが米国や欧州の宇宙機に対する意図的な攻撃だったと完全に証明できないことにある。そのため、ロシアはNATOの集団的対応を回避できる可能性がある。



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