猛暑インフレが家計を直撃:7月消費者物価3.1%上昇、秋以降も続く物価高騰の見通し

日本の家計は、物価上昇の波に引き続き直面しています。本日発表された7月の消費者物価指数は前年同月比で3.1%の上昇を記録し、3%台の高い伸びはこれで8ヶ月連続となります。特に、記録的な猛暑が引き起こす「猛暑インフレ」が家計を直撃しており、その影響は生鮮食品を中心に秋以降も続く見込みです。食料品価格の高騰は消費者の購買意欲を冷やし、日常生活に重くのしかかっています。

家計を圧迫する食品価格の高騰

埼玉県内のスーパーでは、連日多くの買い物客が物価の動向を気にしながら商品を選んでいます。ある顧客は「お米がやっぱり高いし、トマトも値上がりしているけれど、夏野菜だから体が欲する」と話し、また別の顧客は「豚肉も卵も高くなった。夏の間は鶏が卵を産まないというから仕方ないのか」と、生活必需品の値上がりにため息をつきます。野菜、肉、コメといった日々の食卓に欠かせない商品の価格上昇は、多くの家庭にとって喫緊の課題となっています。

今朝発表された7月の消費者物価指数(生鮮食品を除く)は3.1%の上昇となりましたが、実はこの数字には変動の大きい生鮮食品は含まれていません。生鮮食品だけに焦点を当てると、その伸び率はさらに顕著であり、家計を直接的に圧迫する最大の要因の一つとなっています。

スーパーで買い物をする人々スーパーで買い物をする人々

猛暑が引き起こす「猛暑インフレ」の実態

生鮮食品価格高騰の背景には、連日の記録的な暑さがあります。全国各地を襲った猛暑は、野菜の生育不良や枯れる被害を相次いで引き起こしました。また、豚などの家畜も夏バテにより肉付きが悪くなり、出荷量が減少。これが、いわゆる「猛暑インフレ」として、消費者物価に大きな影響を与えています。

マルフク中浦和本店の福島晶彦店長は、「入荷が不安定な状況が続いている」と現状を語ります。特に、「例えばトマトは擦れがあるものが増えたり、きゅうりでも大きさがまばらになったりしています。品質もあまり良くない状態で価格が高いという、厳しい状況です」と、現場の生々しい声を伝えています。こうした品質と価格のミスマッチは、消費者の不満をさらに募らせる要因です。

品質が劣化したトマトやきゅうり品質が劣化したトマトやきゅうり

このような状況下で、消費者の実感は切実です。「一万円札を持ってきても、あっという間になくなっちゃう」という声が、現在の家計の厳しさを物語っています。実際に、先日発表された7月の全国のスーパーにおける食料品の販売額は、前年同月比で3.6%も上昇し、金額にしておよそ260億円もの増加となりました。この数字は、消費者が同じ量を手に入れるためにより多くの支出を強いられていることを明確に示しています。

専門家が警鐘:物価高騰は一過性ではない

生活が圧迫されるばかりの状況ですが、経済専門家は今回の値上がりが一時的なものではないと指摘しています。みずほリサーチ&テクノロジーズの河田皓史チーフグローバルエコノミストは、「猛暑や豪雨といった異常気象が増加傾向にあり、秋にかけて家計負担感がさらに高まっていくことが予想される」と警鐘を鳴らしています。

気象庁が今週公表した9月から11月までの3ヶ月予報でも、今年の季節の進みは遅く、平均気温は3ヶ月を通じて平年より高くなる見込みです。この異常な気象パターンは、今後の農産物の生育にも深刻な影響を与える可能性があります。福島店長も「ジャガイモや玉ねぎはこれから北海道産がメインになるが、育ちが悪く、小さいものが多い」と、秋の味覚への影響を懸念しています。

気象庁の長期予報を示すグラフ気象庁の長期予報を示すグラフ

まとめ

7月の消費者物価指数は引き続き高止まりを見せ、特に生鮮食品においては「猛暑インフレ」が顕著な影響を与えています。異常気象の常態化とそれに伴う農作物の不作、畜産への影響は、一時的なものに留まらず、秋にかけても家計に重い負担をかけ続けると専門家は分析しています。待ち遠しい「食欲の秋」が到来する一方で、私たち消費者は引き続き食費のやりくりに知恵を絞り、節約を強いられることになりそうです。物価上昇の動向と、それに対応するための情報収集が、今後さらに重要となるでしょう。


参考文献:

  • TBS NEWS DIG Powered by JNN. (2023年8月18日). きょう発表された7月の消費者物価指数、伸び率は3%を超えて依然、高止まり。特に生鮮食品の値上がりを招いているのが“猛暑”ですが、その影響は秋も続きそうです。. (記事の内容に基づき構成)
  • みずほリサーチ&テクノロジーズ 河田皓史チーフグローバルエコノミストのコメント. (記事の内容に基づき構成)
  • 気象庁の3ヶ月予報. (記事の内容に基づき構成)