韓国、2026年R&D予算を過去最大35.3兆ウォンに編成:科学技術重視で成長を加速

李在明政権は、2026年度の国家研究開発(R&D)予算案を過去最大規模となる35兆3000億ウォン(約3兆7500億円)に編成することを決定しました。これは、尹錫悦政権時代に学界から強い批判を受けたR&D予算削減を回復させるだけでなく、大幅な増額を行うものです。李大統領は「歴史的にみれば、科学技術を尊重した国は栄え、蔑視した国は滅びた」と述べ、科学技術の重要性を強調しました。この動きは、韓国が科学技術を国家成長の新たな原動力と位置付けている明確な証と言えます。

過去最大規模となるR&D予算編成の背景

今回の予算編成は、李大統領が22日に大統領室で開催した国家科学技術諮問会議の全員会議で審議されました。同会議は大統領が議長を務め、政権発足後初めての開催となりました。科学技術情報通信部(ペ・ギョンフン長官)から報告された「李在明政権K-R&Dイニシアチブ」と名付けられた予算案は、これまでのR&D投資の中で最も大規模なものです。科技情通部は、この予算案が「体質改善と革新を基盤として『真の成長』を実現しようという政府の意志を込めた」と説明しています。

ソウル大統領室で国家科学技術諮問会議にて発言する李大統領。2026年度R&D予算の拡大が議論された。ソウル大統領室で国家科学技術諮問会議にて発言する李大統領。2026年度R&D予算の拡大が議論された。

この予算規模は、尹錫悦政権2年目にあたる2024年度予算案で前年比9.4%減の26兆5000億ウォン規模となり、科学界から激しい批判を浴びた状況とは対照的です。今年のR&D予算は29兆6000億ウォンにまで回復していましたが、来年度の予算案はそこからさらに19.3%増やすことになります。李大統領は、過去の「一種の誤解や問題で(科学技術予算に)浮き沈みがあった」状況から、「今回の予算で正常な増加傾向に戻った」と評価し、政府の強力な支援姿勢を改めて示しました。

主要戦略分野への重点配分と成長戦略

今回のR&D予算案では、特に国家の将来を左右する主要戦略分野に重点的に資金が配分されます。総額8兆5000億ウォン(約9020億円)規模の国家戦略技術関連予算は、昨年比で30%近く増額され、最も重要な項目と位置付けられています。具体的には、量子コンピューティングや合成生物学といった源泉技術の先取りを支援するほか、AI半導体や量子耐性暗号など、サプライチェーンと安全保障に不可欠な核心技術の国内化も推進されます。

また、AIエコシステムの独自の力量を強化するためのR&Dには2兆3000億ウォン(約2440億円)が、再生可能エネルギーが中心となるエネルギー分野の研究開発には2兆6000億ウォン(約2760億円)がそれぞれ配分されます。国防科学技術の革新に向けた研究開発も重視され、3兆9000億ウォン(約4140億円)が編成される見込みです。さらに、基礎研究の強化にも力が入れられ、14.6%増の3兆4000億ウォン(約3610億円)規模となることで、長期的な科学技術発展の基盤を固める狙いがあります。

結論

李在明政権による2026年度の過去最大規模R&D予算編成は、韓国が科学技術を国家の繁栄と持続的な成長の核と捉えていることを明確に示しています。過去の予算削減の反省を踏まえ、主要戦略技術から基礎研究、そしてAIやエネルギー、国防といった広範な分野にわたる集中的な投資は、国家としての競争力を高め、新たな発展フェーズへと移行するための重要な布石となるでしょう。李大統領が言及したように、この予算案は「大韓民国の新たな発展の試金石」として、今後の動向が注目されます。

Source: https://news.yahoo.co.jp/articles/ca59faad27ac1dfeb1adc33c996eb79810fda9d0