国産自動運転トラック、2028年に量産化か?クノールブレムゼが日本大手から大型受注

トラックドライバー不足が深刻化する中、「自動運転トラック」への期待が高まっています。この度、ドイツの自動車部品大手クノールブレムゼが日本の主要商用車メーカーから大型受注を獲得し、国産自動運転トラックの量産化が2028年頃に始まる見通しとなり、物流業界に変革をもたらす可能性が浮上しました。

「自動運転トラック」のイメージ。将来の物流を担う技術として期待される大型トラック。「自動運転トラック」のイメージ。将来の物流を担う技術として期待される大型トラック。

国産「自動運転トラック」量産化に向けた動き:クノールブレムゼの大型受注

商用車向けブレーキシステムで世界的な大手であるドイツのクノールブレムゼは2024年8月21日、日本の大手商用車メーカーから自動運転トラック向けのシステムに関する大型受注があったことを明らかにしました。この受注には、レベル4(L4)自動運転に不可欠な冗長化されたブレーキシステムおよびステアリングシステムが大型商用車1,100台分、さらにレベル2(L2)相当のトラック向けブレーキ・ステアリングシステムが含まれます。

SAEレベルは自動運転の水準を示す国際的な基準で、L2は運転操作の一部が自動化されドライバーが主体となる「運転支援車」、L4は特定の条件下で運転操作の全てがシステムに委ねられる「自動運転車(限定領域)」を指します。商用車分野では、L3(システムが運転を担うが、非常時にはドライバーが介入)は利点が少ないため、スキップされる傾向にあります。

クノールブレムゼは、これらのシステムを搭載した車両が日本市場に加え、東南アジア市場や米国市場にも投入され、受注規模は数億ユーロ(約170億円から860億円)と発表。2028年の納入開始により、日本の大手商用車メーカーによる自動運転トラックの量産化がその頃に本格化する見通しです。自動運転トラック開発で先行する米国が2027年頃の商用展開を目指しており、日本の開発スケジュールも国際水準に追いついています。

同社取締役で商用車システム部門担当のベルント・シュピース氏は、L2やL4自動運転機能を備えたトラックに高い安全性と実用的なシステムを提供できることを強調しました。彼は、「アクチュエータ技術の専門知識を活かし、システムに冗長性を実装することで、お客様のSAEレベル4自動運転トラック実現を支援します」とコメント。ドイツの「アトラスL4」プロジェクトでの実績に触れ、今回の日本の商用車メーカーとのパートナーシップが、同社の研究開発力と日本市場での地位を強化するものと述べています。

まとめ

クノールブレムゼからの大型受注は、日本の物流業界が直面するドライバー不足解消へ向けた大きな一歩です。2028年の量産化開始という具体的な展望は、国産自動運転トラックの普及を現実のものとし、ドライバー不足緩和、輸送効率向上、安全性強化を通じて未来のモビリティ社会を大きく変革する可能性を秘めています。

参考資料