李在明大統領が23日に日本を訪問し、石破茂首相との日韓首脳会談を通じて「シャトル外交」の復元を決定しました。これは、両国関係の新たな転換点を示すものです。6月のG7サミット以来2ヶ月ぶりとなる両首脳は、短い期間に首脳会談、少人数会談、拡大会談を立て続けに行い、多岐にわたる分野での協力を確認しました。今回の合意は、日韓関係のみならず、北東アジアの地域情勢にも影響を与える重要な意味合いを持っています。
シャトル外交の復活と多分野にわたる協力合意
今回の会談では、人工知能(AI)などの未来産業協力、人的交流の拡大、北朝鮮の核問題への共同対処を含む5分野・11細部事項で合意に至りました。特に、次官級戦略対話の新設、ワーキングホリデー制度の拡大、少子高齢化といった共通の社会懸案への共同対応が盛り込まれたことは、実質的な協力の第一歩として高く評価されています。これにより、これまで停滞していた両国間の交流が再び活性化され、具体的な成果が期待されます。
日韓首脳会談後、共同文書発表を終え握手する李在明大統領と石破茂首相
17年ぶりの共同文書発表と歴史認識の継承
日韓首脳が共同文書を発表したのは、2008年の李明博政権以来17年ぶりのことです。この共同文書には「朝鮮半島の完全な非核化と恒久的な平和構築」という原則が明記され、李大統領が日韓関係を「同じ庭を使用する隣人」と表現したように、未来志向的な青写真が示されました。韓国が日韓関係の増進を土台に日米韓協力の枠組みを主導した点は、今後の朝鮮半島の安全保障に前向きな役割を果たす期待をもたらします。国民の力非常対策委員長の宋彦錫氏も「国益レベルで正しい決定だった」と評価しました。
歴史問題に関しては、石破首相が1998年の金大中・小渕宣言を含む歴代内閣の歴史認識を継承すると表明したことが共同文書に盛り込まれました。これは、過去を直視しつつ未来に進むという金大中・小渕宣言の精神を改めて確認するものであり、その意義は大きいと言えます。一方で、過去に対する反省に関して、小渕宣言にあった「痛烈な反省」のような進展した表現が見られなかったことは惜しまれる点です。今後、日本が韓国が差し出した手を真摯に受け止め、責任ある行動に出ることが期待されます。
米韓首脳会談への架け橋としての重要性
今回の会談は、単なる日韓関係の改善に留まらず、来る米韓首脳会談への橋渡しという点で極めて重要でした。李大統領が歴代大統領として初めて米国よりも先に日本を訪問したという事実は、今回の会談が米韓首脳会談に備える「予備テスト」としての性格を強く帯びていたことを示唆します。李大統領は今回の訪日で、石破首相の対米交渉経験について聴取しました。米現地時間の25日に開催される米韓首脳会談は、これまでの「親善拡大と同盟再確認」を主眼とした会談とは異なり、李在明政権の「実用外交」とトランプ大統領の「米国優先主義」が正面からぶつかる試練の場となるでしょう。トランプ大統領は既に、関税、国防費、在韓米軍駐留費などで多大な請求書を予告している状況です。魏聖洛安保室長が述べたように「(日本の経験から)教訓を得ることは我々がするべきこと」であり、国益最大化の成果につながるよう、徹底した準備が不可欠です。
今回の李在明大統領と石破茂首相による日韓首脳会談は、シャトル外交の復活と共同文書の発表により、未来志向的な二国間関係を築く上で重要な一歩となりました。特に、多様な分野での協力合意と歴史認識の継承は、関係改善に向けた明確なメッセージとなります。さらに、この会談は今後の米韓首脳会談を控え、韓国の外交戦略において戦略的な意味合いを持つ「予備テスト」としての役割も果たしました。日韓両国が協力し、地域全体の安定と繁栄に貢献すると同時に、国際社会における両国の地位向上に繋がるよう、具体的な行動と継続的な努力が求められます。