2025年も残すところ約4カ月となり、年末の風物詩である『NHK紅白歌合戦』の出場アーティスト選考に注目が集まる中、有力候補と目されていた人気アーティストたちの間で持ち上がった「タトゥー騒動」が波紋を広げています。日本のテレビ番組や公の場におけるタトゥー表現に対する世間の反応は複雑であり、この動向が彼らの紅白出場にどのような影響を与えるのか、多くのファンや関係者が注視しています。
世間を揺るがすタトゥー露呈:あいみょんとYOASOBIへの反応
発端は、シンガーソングライターのあいみょんさんが8月8日発売の女性ファッション誌『GINZA』(マガジンハウス)の表紙で、左腕に人の形をしたような絵柄のタトゥーを見せたことでした。この一件は大きな注目を集め、あいみょんさんは8月19日の自身のInstagramでもタトゥーが入った腕の写真を投稿し、再び話題となりました。
ファッション誌『GINZA』の表紙で左腕のタトゥーを露わにし、世間の注目を集めたあいみょん
さらに、音楽ユニット『YOASOBI』も8月20日にテレビ静岡の『ただいま! テレビ』のインタビューを受けた際、番組公式X(旧Twitter)に投稿された写真で、コンポーザーのAyaseさんの首から腕にかけて入ったタトゥーがSNS上で議論を呼びました。近年、タトゥーを公表する芸能人は増加傾向にありますが、日本ではまだ抵抗感を抱く人が少なくなく、公の場での露出はしばしば物議を醸す原因となっています(芸能記者談)。
実際に、あいみょんとYOASOBIのタトゥー露出に対して、SNS上では様々な声が上がりました。Xでは「全身タトゥーーいかちぃー」「YOASOBI のキーボード首からのタトゥーードン引きですよね」「あいみょん、何でこんなことするかなぁ」「あいみょんのタトゥーー汚くなってきたね。あまりやり過ぎない方が良かったな」といった困惑や拒否反応を示すコメントが見受けられました。このような世論の動きは、彼らの今後の活動、特に国民的番組である紅白歌合戦への出場に影響を及ぼす可能性が指摘されています。
紅白歌合戦出場への影響:有力候補の行方は?
あいみょんさんは2019年から5年連続で、YOASOBIも2020年、2021年、2023年に紅白歌合戦に出場しており、その知名度や実績は申し分なく、2025年も有力な出場候補と見られていました。しかし、出場者の選定が本格化する時期に今回のタトゥー騒動が起きたことで、彼らの出場に懸念の声も少なくありません(前出・芸能記者談)。国民的番組としての紅白歌合戦は、老若男女問わず幅広い層が視聴するため、出演者には清廉なイメージが求められる傾向があります。タトゥーに対する世間の評価が依然として分かれる中で、NHKがどのような判断を下すのかが注目されています。
B’zのケースから見るタトゥーと公衆イメージの相違点
一方で、2024年の紅白歌合戦にはタトゥーを持つアーティストが出場した例もあります。ギタリストの松本孝弘さんとボーカリストの稲葉浩志さんによるロックユニット『B’z』は、2024年に初出場を果たしましたが、彼らが複数個所にタトゥーを入れていることは広く知られています。それでも、紅白のステージでは肌が見えない衣装だったこともあり、彼らのタトゥーを指摘する声はほとんど聞かれず、そのパフォーマンスは番組の大きな盛り上がりを演出しました。
B’zの場合、ロックユニットとしての確立されたイメージがあり、タトゥーを含めて彼らのスタイルを支持する層が一定数存在します。また、彼らはSNSで積極的に私的な情報を発信するタイプではありません。これに対し、あいみょんさんは親しみやすく、YOASOBIもデビュー当初は素朴なイメージが強かったため、タトゥーとの間にギャップを感じる視聴者が多かったのかもしれません。さらに、SNSでの注目度が高い分、タトゥーが「悪目立ち」として受け取られてしまう傾向があると考えられます(前出・芸能記者談)。これは、アーティストのイメージ戦略と世間のタトゥーに対する認識、そして情報伝達の手段が複雑に絡み合っている現状を示唆しています。
親しみやすさとタトゥーのギャップ:なぜ「悪目立ち」するのか?
芸能人のタトゥーが公になる際、そのアーティストが持つパブリックイメージが世間の反応を大きく左右することが今回の騒動で浮き彫りになりました。ロックバンドのように特定の音楽ジャンルやスタイルを確立しているアーティストの場合、タトゥーは表現の一部として受け入れられやすい傾向があります。しかし、あいみょんさんやYOASOBIのように、より広範な層に「親しみやすさ」や「清純さ」といったイメージで支持されてきたアーティストの場合、タトゥーの露出は既存のイメージとの乖離を生み、それが世間の戸惑いや批判に繋がることがあります。
特に日本社会においては、タトゥーが持つ歴史的・文化的な背景から、いまだに一部でネガティブな印象が根強く残っています。公衆浴場やプールでの利用制限など、日常生活にもその影響が見られます。このような社会背景の中で、国民的番組である紅白歌合戦のような舞台では、出演アーティストのイメージが厳しく問われることとなります。SNSの普及により情報が瞬時に拡散され、個人の表現がより多くの人々の目に触れるようになった現代において、アーティストが自身の表現と社会の規範、そしてオーディエンスの期待との間で、どのようなバランスを取るべきかという難しい課題を突きつけていると言えるでしょう。
まとめ
あいみょんさんとYOASOBIに持ち上がったタトゥー騒動は、2025年の『NHK紅白歌合戦』出場アーティスト選考に複雑な影を落としています。タトゥーが社会的に徐々に受け入れられつつある一方で、国民的番組における露出や、アーティストの持つイメージとタトゥーのギャップが、依然として世論の分断を生んでいる現実があります。B’zのケースと比較すると、アーティストのイメージ戦略、情報発信の方法、そして日本のタトゥー文化に対する根強い意識が、世間の反応を大きく左右することが分かります。果たして、あいみょんとYOASOBIは年末の紅白歌合戦の舞台に立つことができるのか、今後の動向が注目されます。
参考資料
- Smart FLASH (2025年8月26日). 「あいみょん&YOASOBIに“タトゥー騒動”紅白出場に暗雲か」. https://news.yahoo.co.jp/articles/05dc89d9704a36fe1782e7a60d066019fa0507df
- マガジンハウス. 『GINZA』2025年8月号.
- あいみょん 公式Instagram.
- テレビ静岡 『ただいま! テレビ』公式X.