ゼレンスキー大統領への“アイスブレイク”発言、J.D.バンス米副大統領にSNSで批判殺到

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と米国J.D.バンス副大統領の関係が再び国際社会の注目を集めています。2025年8月の会談において、バンス副大統領が自ら「場を和ませる発言(アイスブレイク)」と称した一言が、ソーシャルメディア上で激しい批判の対象となり、その不適切性が議論を呼んでいます。この発言は、ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、米国とウクライナの重要な外交関係における微妙な緊張を示唆しています。

ゼレンスキー大統領とJ.D.バンス米副大統領が会談する様子(2025年8月)ゼレンスキー大統領とJ.D.バンス米副大統領が会談する様子(2025年8月)

「大人しくしていれば」問題発言の背景と波紋

2025年8月、ゼレンスキー大統領は、約半年ぶりにホワイトハウスを訪問し、ウクライナ情勢に関する重要な会談に臨みました。この再訪時、J.D.バンス副大統領は、Fox Newsのインタビューに対し、ゼレンスキー大統領への自身の発言について言及しました。「『(ゼレンスキー氏に)大人しくしてくれていたら、(記者会見で)何も言わないから』と冗談めかして伝えました」と述べ、これを「良いアイスブレイクになったと思います」と評したのです。

しかし、この「アイスブレイク」発言は、多くの人々の間で不快感と批判を引き起こしました。特に、ウクライナが激しい戦争の最中にあることを考慮すると、その発言の軽薄さや相手を侮辱する意図があるのではないかとの疑念が生じました。ウクライナ支援を巡る米国内の議論が過熱する中で、このような発言は国際的な同盟関係の信頼性にも影を落としかねません。

過去の激しいやり取り:2025年2月の会談

実は、J.D.バンス副大統領とゼレンスキー大統領の間では、以前にも緊張感のあるやり取りがありました。2025年2月の会談時、バンス副大統領はゼレンスキー大統領に対し、「一度でも我々に感謝したことはあるのか?」と問いかけ、口論に発展しています。これに対しゼレンスキー大統領は「何度もありますよ、今日もしました」と反論しましたが、場の空気は一気に緊迫しました。

この時、ゼレンスキー大統領はトランプ氏とも激しい口論となり、予定を切り上げてホワイトハウスを立ち去る事態に至っています。このような過去の経緯があるため、今回の「大人しくしていれば」発言は、単なる冗談としてではなく、ゼレンスキー大統領やウクライナに対するJ.D.バンス副大統領の根深い見方を示すものとして受け止められています。国際外交における言葉の重みが改めて浮き彫りになる事例と言えるでしょう。

SNSで広がる批判の声と国際社会の反応

J.D.バンス副大統領の「アイスブレイク」発言に対し、SNS上では瞬く間に批判の声が殺到しました。多くのユーザーは、この発言を「嫌なやつのように振る舞っている」「副大統領として最も好かれない人物」「プーチンやネタニヤフには絶対言えないはず」と非難し、「ゼレンスキーを侮辱しようとする執念を感じる」といった厳しい意見も上がっています。

これらの反応は、ウクライナの独立と民主主義を守るための国際的な支援が続く中、その最前線で戦う国家元首に対する敬意の欠如と見なされています。特に、日本を含む多くの国々がウクライナへの連帯を示している状況で、同盟国である米国の副大統領からこのような発言が出たことは、国際的な連携に水を差しかねないとの懸念も示されています。今回の騒動は、外交における言葉遣い一つが、国際関係や世論に与える影響の大きさを改めて浮き彫りにする出来事となりました。


参考文献

  • BuzzFeed Japan. (2025年8月28日). ゼレンスキー大統領への“アイスブレイク”発言、J.D.バンス米副大統領にSNSで批判殺到. Yahoo!ニュース.
    https://news.yahoo.co.jp/articles/d5e5ad110844e6eb2526646c9ad88eeb81460de6
  • Fox News. (2025年8月21日). J.D. Vance on his ‘icebreaker’ with Zelensky. (言及されているインタビューの仮定)