米イーライリリー社が開発した肥満治療薬「マンジャロ」(一般名:チルゼパチド)が、韓国の医療機関で2024年8月21日から公式に処方開始され、首都ソウル・鍾路3街一帯の医院や薬局には薬を求める患者が殺到しています。医師によると、70~80代の高齢層までもが「ダイエット目的」で処方を希望するなど、初日からその“熱風”が実感されました。この新たな潮流は、先行する肥満治療薬「ウィゴビー」との競争を激化させ、市場に大きな変化をもたらしています。
新肥満治療薬「マンジャロ」の韓国市場投入
マンジャロは、その高い体重減少効果が注目され、多くの患者が発売を待ち望んでいました。ある医院の院長は、「マンジャロの方が体重減少効果が大きいとされ、発売を待って来院する患者もいる」と説明しています。この新薬の登場は、肥満治療への関心を一層高め、単なる医療目的だけでなく、美容やダイエット目的での利用も拡大している現状を浮き彫りにしています。多様な年齢層からの需要は、肥満治療薬の大衆化が着実に進んでいることを示唆しています。
ソウル市内の診療室に並べられた、注目の肥満治療薬「マンジャロ」と「ウィゴビー」。
競争激化と価格変動:ウィゴビーの値下げ
マンジャロの市場投入は、デンマークのノボノルディスク社が販売する「ウィゴビー」(一般名:セマグルチド)にも影響を与えています。マンジャロとの競争激化を受け、ウィゴビーは供給価格を引き下げる動きを見せており、これにより両肥満治療薬の価格競争が本格化しています。32歳の女性患者は、「この病院が肥満薬で有名だと聞き、近くの薬局も価格が安いと知って来た。マンジャロ登場でウィゴビーが安くなったので、まずはウィゴビーで始めてみたい」と語り、価格が患者の選択に大きな影響を与えていることを示しています。
マンジャロとウィゴビーの価格と供給状況
現在、マンジャロの価格は2.5mgで約29万ウォン、維持用量の5mgで約39万ウォンと設定されています。一方、ウィゴビーは供給価格の引き下げにより、0.25mgが25万ウォン、0.5mgが26万ウォン、1.0mgが28万ウォン、1.7mgが36万ウォンとなり、従来よりも大幅に安価になっています。しかし、これらの人気薬は需要に供給が追いついていない状況です。ある医院の院長は、「ウィゴビーは今は在庫があるが、マンジャロは初期出荷量が少なく週末から来週半ばまでは欠品する」と述べ、別の医院も「マンジャロは8月28日に再入荷予定」と明かすなど、品薄状態が続いています。
まとめ
韓国における新しい肥満治療薬マンジャロの登場は、市場に大きな熱狂をもたらし、ウィゴビーとの競争を通じて価格の変動や供給の課題を引き起こしています。これらの動向は、肥満治療薬がより多くの人々にとって身近な選択肢となりつつあることを示しており、今後の市場の発展が注目されます。
参考文献
- KOREA WAVE
- AFPBB News
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