『ザ・ロイヤルファミリー』第7話:血統、家族、そして夢の「継承」が織りなす感動 (TBS系)

TBS系ドラマ『ザ・ロイヤルファミリー』第7話では、物語の核心をなすキーワード「継承」が深く掘り下げられました。競馬の世界における競走馬の血統が次世代へと受け継がれる様は、まさに人間ドラマにおける親子の絆や夢の継承と重なります。このエピソードでは、耕一(目黒蓮)と耕造(佐藤浩市)の複雑な親子関係、そして彼らの情熱がロイヤルホープ、そして新たな命「ロイヤルファミリー」へと繋がっていく過程が描かれ、視聴者に深い感動を与えました。

競馬に宿る「継承」のテーマと親子の情

2018年、雨の有馬記念でロイヤルホープの力走を目にした耕一は、栗須(妻夫木聡)を介して父・耕造との面会を申し込みました。引退したホープが種牡馬として次世代を残すことになった背景には、父から息子へと受け継がれる血統と情熱が深く関わっています。第7話は、競走馬の交配を通じて「継承」という本作の主題に足を踏み入れ、同時に物語の主役交代を告げる重要なサインでもありました。

耕造と愛人の子である耕一の関係は、一般的な親子像とは一線を画します。耕一は「僕は不幸なのか」「本当に助けが必要なとき、そばにいてくれるのか」と問いかけ、父の冷酷さを非難するかのようでした。助けの手を振り払う耕一が、なぜ耕造と会うことを望んだのか。親子の情を求めていないことは明らかに見えましたが、栗須は加奈子(松本若菜)との会話から、耕一の別の意図に気づきます。不器用ながらも馬に惜しみない情熱を注ぐ耕一の姿は、父をも上回るほどでした。

ドラマ『ザ・ロイヤルファミリー』第7話の印象的なシーン、目黒蓮と佐藤浩市が登場ドラマ『ザ・ロイヤルファミリー』第7話の印象的なシーン、目黒蓮と佐藤浩市が登場

母の直感と父の信頼:家族の絆が織りなす「縁」

耕一にとって、ホープの馬主が父であったこと、そしてホープの相手にロイヤルハピネスを選んだことは偶然の範疇に思えました。しかし、本当に偶然だったのでしょうか。耕一の馬を見る目は、母である美紀子(中嶋朋子)譲りであり、美紀子が優良馬を産むハピネスを選んだことには一貫性があります。耕造の「馬の良し悪しはわからないから、馬の後ろにいる人間を見る」という言葉は、彼が栗須を抜擢し、競走馬の仕事を任せた理由を物語っています。耕一もまた、栗須の誠実さを信用しており、人を信じるという点において、この親子には共通点がありました。

これらすべての出来事は「縁」と表現できるでしょう。本作が秀逸なのは、単に人と馬の数世代にわたる継承を描くだけでなく、親子の真情を深く重ね合わせている点です。生まれてくる仔馬が「耕一にしか受け取れない馬」であり、耕一に相続させるために生きようとする耕造の姿は、その最たるものです。王道でありながら、陳腐さとは無縁なのが『ザ・ロイヤルファミリー』の魅力と言えます。

「ロイヤルファミリー」に託された願いと夢の継承

第7話では、父と母の思いが織り込まれた印象的な台詞がいくつも登場しました。耕一の反発を受けながらも耕造が発した「幸せになってもらいたいという俺の気持ちは、たとえお前が幸せの絶頂にあるとしても失せることはない」という言葉や、加奈子から息子・翔平(市原匠悟)への思い(「この人私の子どもだった人だよね」「別々の人間になっていく」「早く成長しないといけないのは私のほう」)に深く共感した視聴者も多かったはずです。

ホープとハピネスの子ども「ロイヤルファミリー」は、勝利を運命づけられた存在として描かれます。ファミリーの額にあるダイヤモンド型の白斑は、稲妻のような形のホープ譲りであり、その血統を物語っています。ロイヤルファミリーのデビュー戦では、ホープと同じようにスタートで出遅れながらも、最後の直線で見事にライバルを抜き去りました。これは、血統と人々の思いが融合した感動的な勝利でした。

耕造の死は、栗須の口から馬主の地位の相続として間接的に語られます。家族を深く愛した耕造が、最後に生まれた馬に「ファミリー」と名付けたのは、耕一もまた家族の一員であるというメッセージだったのでしょう。競走馬を相続した耕一は、耕造の夢も受け継ぎました。第8話の予告では、馬主となった耕一の新たな挑戦が映し出され、中川大志の登場も示唆され、物語は最終コーナーへと差し掛かります。