参院選での歴史的惨敗から約1ヶ月が経過し、当初「退陣不可避」と見られていた自民党内のムードに変化が生じています。この背景には、内閣支持率の急上昇があります。「辞任すべきだと思わない」が「辞任すべき」を上回るなど、石破首相の続投を後押しする世論が広がっているのです。選挙に敗れたにもかかわらず、支持率が上昇するという近年稀な現象。一体、石破首相はどのような層の人々から支持されているのでしょうか。
支持率急上昇の背景と数値データ
読売新聞が8月22日から24日にかけて実施した世論調査では、石破内閣の支持率が参院選直後の22%から39%へと急上昇しました。さらに、「辞任すべきだと思わない」と答えた人が50%に達し、「辞任を求める」の42%を上回る結果となっています。この意外な動向について、ある立憲民主党議員は「有力なポスト石破候補が高市早苗氏や小泉進次郎氏しかおらず、タカ派色の強い高市氏や『進次郎構文』で能力が疑問視される小泉氏が首相になるくらいなら、石破氏で良いと考える人が多いのではないか」と分析しています。
内閣支持率が急上昇する中、会見に臨む石破茂首相
自民党支持層の動向と「判官びいき」
世論を属性別に見てみると、NHKが8月9日から11日に実施した世論調査では、石破首相の続投を支持する割合は、自民党支持層で69%と最も高く、野党支持層の39%、無党派層の43%と比較して顕著な差が見られました。このことから、自民党支持者が石破首相の続投に強いゴーサインを出していることがうかがえます。
長年自民党支持者の声に耳を傾けてきた地方議員は、「自民党支持者も、旧安倍派の裏金問題に対する怒りがいまだ収まっていない。参院選前には多くの支持者から『今回は自民党に入れない』と言われた。自民党を支持するからこそ、党の足を引っ張った旧安倍派を許せず、裏金問題を引き起こした議員たちが『石破おろし』をしている現状に憤りを覚えているのだろう」と語ります。
また、党内で『石破おろし』の駆け引きに関わる自民党議員は、「裏金問題を引き起こした旧安倍派の一部が退陣を求めたことが悪手だった。世間からは、党内基盤が弱い石破氏を、裏金問題を起こした議員たちが集団でいじめているように見えた。『判官びいき』に近い感情も支持率を押し上げているのではないか」と指摘しています。
「石破辞めるな」と書かれたプラカードを掲げ、首相の続投を訴えるデモの様子
結論
石破内閣の支持率急上昇は、参院選での敗北という通常であれば退陣に繋がる状況下で発生した、複雑な政治心理の現れです。ポスト石破候補に対する懸念、旧安倍派の裏金問題に対する自民党支持層の根深い怒り、そして「判官びいき」といった国民感情が複合的に作用し、石破首相の続投を支持する世論形成に寄与していると考えられます。これらの要素が、現在の日本政治における石破首相の立ち位置を決定づける重要な鍵となっています。
参考文献
- 読売新聞
- NHK
- 集英社オンライン