中国人による日本の薬局買収が急増:医薬品不正流出の懸念と背景を深掘り

日本の薬局やドラッグストアが中国人によって買収される事例が増え、日本製医薬品が不正に国外へ流出しているとの疑惑が持ち上がっています。かつての「爆買い」から、今や薬局経営そのものが狙われる事態。この動向は日本の医療システムと消費者保護にどのような影響をもたらすのでしょうか。本記事では、その現状と背景を深掘りします。

中国SNSで広がる薬局売買情報と開業の複雑さ

中国版インスタグラム「小紅書(シャオホンシュー)」や「ウィーチャット」の招待制グループチャットでは、「大阪の薬局譲ります・薬剤師在籍・各種設備完備」といった日本の薬局に関する売買情報が、中国語で多数投稿されています。在日中国人コミュニティの間で薬局やドラッグストアの経営が注目されている現状が伺えます。

薬剤師の長澤育弘氏によると、日本で薬局を新規開業するには、まず薬剤師の雇用と物件契約、さらに保健所への事前相談と許可取得が必須です。特に、一般客の出入りが困難な場所や医療機関らしくないオフィスビルの一室などでは許可が下りず、採光や換気といった厳格な基準も満たす必要があります。物件の工事を経て実地調査を受け、ようやく許可が下りるため、ゼロからの開業は多大な手間を要します。そのため、既存の薬局を買収する形であれば、店舗用物件や薬剤師を探す手間を大幅に省けるメリットがあります。

海外への医薬品販売には複雑な手続きが必要だが、薬局買収によりその障壁を回避する動きが見られる海外への医薬品販売には複雑な手続きが必要だが、薬局買収によりその障壁を回避する動きが見られる

日本の「神薬」人気が呼び込む買収動機

別の薬剤師が指摘するように、中国では過去に偽造医薬品が流通する事件があった歴史的背景から、医薬品の品質に対する懸念が根強くあります。こうした状況において、日本の医薬品は「神薬」と称され、その高品質と安全性から非常に高い人気を誇っています。かつて話題となった中国人による日本の医薬品「爆買い」は、その需要の大きさを物語るものでした。そして今、その段階は日本の薬局そのものを手に入れる「薬局買い」へと移行しつつあります。

外国人が薬局を経営すること自体は法的に問題ありませんが、問題視されているのは、こうした買収を通じて日本製医薬品が不正な形で中国など国外へ流出しているという疑惑です。高品質な日本の薬へのアクセスを目的とした動きは理解できるものの、法の目を掻い潜る不正流出は、医薬品の適正な供給体制を脅かすことになりかねません。

中小薬局の経営難が買収の温床に

日本国内の薬局店舗数は増加を続けていますが、その一方で、業界内の競争激化は中小規模の薬局にとって厳しい経営環境を生み出しています。倒産件数の増加や、特に地方における後継者不足による事業承継の問題は深刻です。こうした経営難に直面する薬局が、中国人による買収のターゲットとなっている構図が見受けられます。事業継続が困難な状況下で、買収は一つの解決策となり得ますが、それに伴う医薬品の不正流出リスクは、日本の医療体制全体にとって看過できない課題です。

中国人による日本の薬局買収増加は、日本製医薬品不正流出という深刻な問題を提起します。「神薬」の信頼性悪用や国際評価への影響も懸念。政府は薬局経営の実態と流通経路への監視、厳格な管理体制確立が急務です。同時に、経営難の中小薬局への支援策も検討し、健全な運営を通じて日本の医療システムと国民の健康を守る必要があります。

参考資料