オーストラリア、大規模反移民デモに政府が異例の反対表明

住民の約3割が国外生まれという「移民大国」オーストラリアで、来る31日に大規模な反移民デモが計画されています。ソーシャルメディア上では参加を呼びかける投稿と共に、移民に対するデマや中傷が相次いでおり、これに対し豪政府は28日、異例となるデモへの反対表明を行いました。住宅不足や物価高騰を背景に、国内で高まる反移民感情が社会の分断を深める懸念が高まっています。

「オーストラリアのための行進」デモの概要と主催者への懸念

3月31日昼にシドニーやメルボルンなど主要都市で実施が予定されているこのデモは、「オーストラリアのための行進」と名付けられています。「大量移民」に抗議し、「国を取り戻す」とのスローガンを掲げ、動画共有アプリTikTokをはじめとするSNSで広範にわたる参加呼びかけが行われています。

主催者の詳細は不明な点が多いものの、豪公共放送ABCは28日、関係者の一部が過去に白人至上主義や親ナチス的な投稿をしていたと報じました。一方、主催者側は「いかなる団体にも所属していない」と声明を出し、極右勢力とのつながりを否定しています。しかし、インターネット上ではデモ支持者による人種差別的な発言も目立ち、豪州在住の移民からは不安の声が上がっています。

オーストラリアで計画されている反移民デモへの参加を呼びかけるTikTokの投稿画面オーストラリアで計画されている反移民デモへの参加を呼びかけるTikTokの投稿画面

デモへの批判の声も多く、これに対抗するカウンターデモの計画も浮上している状況です。地元メディアによると、一部の警察は「衝突の恐れがある」とみて、大規模な警備体制を敷く方針を公表しており、当日の治安維持が懸案事項となっています。

豪政府による断固たる反対表明

こうした状況を受け、バーク内相は28日、「全ての国民は安全で、歓迎されていると感じる権利を持っている」と強調。その上で、「社会の結束を分断し、弱めようとする人々の居場所はない」と強く批判し、政府としてデモに反対の立場を明確に表明しました。これは、移民問題に対する政府の強い意志と、社会の調和を重視する姿勢を示すものと見られます。

高まる反移民感情の背景:住宅不足と物価高騰

オーストラリア国内で反移民感情が高まりつつある背景には、深刻化する住宅不足や物価高があります。豪シンクタンク「ローウィー研究所」が6月に公表した世論調査によると、国民の53%が「移民流入は多すぎる」と回答しており、これは前年より5ポイント増加しています。この結果は、経済的な負担が移民に対する国民の感情に影響を与えている現状を示唆しています。

豪政府の2024年の統計によれば、人口2,719万人のうち858万人が外国生まれであり、その出身国別の人数は、英国96万人、インド92万人、中国70万人と続いています。多様な文化を持つ移民が社会を支える一方で、現在の経済状況が新たな摩擦を生み出していると言えるでしょう。

結論

オーストラリアで計画されている大規模な反移民デモは、経済的な課題と社会の多様性が複雑に絡み合った結果、表面化したものです。豪政府は社会の結束と全ての住民の安全を強調し、デモへの明確な反対姿勢を示しました。しかし、住宅不足や物価高騰といった根本的な問題が解決されない限り、反移民感情がくすぶり続け、社会の分断が深まる可能性も残されています。今後の政府の政策と社会の反応が注目されます。

出典