【パリ=三井美奈】新型コロナウイルス感染が広がるイタリアに中国やロシア、キューバが相次いで医療支援団を送った。ディマイオ伊外相は各国駐在の大使に「マスクと医療品をできる限り調達せよ」と号令をかけており、欧州連合(EU)では「支援外交」の宣伝戦に警戒が出ている。
イタリアには22日以降、プーチン露大統領が送った医師団と支援物資を積んだ軍用機9台が相次いで到着した。キューバの医師団約50人も到着。すでにローマ入りしている中国の医師団に続き、活動を開始した。
ディマイオ氏は24日、「中国からまた支援物資が届いた。マスクも約150万枚ある」とツイッターで発信した。EUからイタリアへの支援が遅れる中、域外国から支援を取り付けた成果を誇り、「外交で生命を救う」とアピールする。ディマイオ氏は、EUに懐疑的なポピュリズム(大衆迎合主義)政党「五つ星運動」に所属する。
これに対し、EUのボレル共通外交安全保障上級代表は、23日の声明で「中国は米国と異なり、『頼れるパートナー』だというメッセージを発信しようとしている」と支援外交の思惑を指摘した。支援を使った宣伝戦で「EUの信頼を失わせようとする」動きがあると警戒を示し、EUが加盟国支援で結束するよう訴えた。