夜の繁華街で急増中!「客引きぼったくり」で意識不明、高額請求の恐怖とカード会社の落とし穴

活気あふれる夜の繁華街で、甘い誘い文句に思わず足を止めてしまう。そんな状況から、信じられないような高額請求、さらには意識を失うほどの「客引きぼったくり」被害が急増しています。特に男性が狙われやすく、その手口は巧妙化の一途を辿っています。一時の気の緩みが、取り返しのつかない事態を招くことも。詐欺や悪質商法の被害救済に尽力する市川巧弁護士が警鐘を鳴らす、現代の夜の街に潜む危険と、クレジットカード不正利用の知られざる落とし穴について詳しく解説します。

夜の繁華街で女性の客引きに声をかけられる男性夜の繁華街で女性の客引きに声をかけられる男性

いつもの断り文句も通用せず…油断が生む罠

金曜日の夜9時。都内の繁華街で職場の飲み会が終わり、もう少し飲みたい気分だった40代のマスオさん(仮名)は、駅へ向かう途中、若い女性から「お兄さん、もう1軒いきませんか?可愛い女の子がいますよ」と声をかけられました。普段なら断る客引きですが、その日は「たまには良いか」と誘いに乗ってしまいます。女性に導かれ、ビルの2階にある薄暗いスナック風の店へ。これが、彼の悪夢の始まりでした。

「ビール」一口で記憶が途絶える…目覚めた先の悪夢

店は狭く、カウンターとボックス席が一つ。案内してくれた女性はいつの間にか姿を消し、別の女性(推定40歳前後)にボックス席を勧められます。そして、ビールのような飲み物を口にした瞬間、マスオさんの記憶は途絶えてしまいました。

翌日の土曜日の昼前、自宅のベッドで目覚めると、スーツを着たまま。頭痛はひどく、これまでの二日酔いとは全く違う不快感に襲われます。どうやって帰宅したのか全く思い出せません。財布を確認するとタクシーの領収書が入っており、無事に帰宅できたことは分かります。しかし、クレジットカードのレシートを見た瞬間、全身に冷や汗が噴き出しました。そこには、身に覚えのない100万円を超える高額の支払いが記載されていたのです。レシートに記載された店名はおそらく昨夜入ったあの店でしょう。口にした「ビール」には何らかの薬物が混入されており、意識がはっきりしないうちに決済させられたと確信しました。

カード会社からの冷徹な宣告 – 「本人利用」とみなされる現実

すぐにカード会社に電話し、不正利用の被害を訴えたマスオさん。自分に落ち度はないのだから、カード会社が請求することはないだろうと、最初は楽観していました。しかし数日後、カード会社から告げられた言葉に、彼の身体は凍りつきます。「本人確認は暗証番号入力でなされているため、カード利用規約により、お客様ご本人の利用とみなします。カード利用代金引落口座のご準備をお願いします」。

これは、本人が暗証番号を入力した以上、たとえ意識不明の状態であったとしても、カード会社の規約上は「本人利用」と見なされるという厳しい現実でした。客引きによるぼったくり被害だけでなく、薬物混入という犯罪行為が絡んでいても、最終的に高額請求の責任を問われる可能性があるという、恐ろしい落とし穴が潜んでいるのです。

繁華街での甘い誘いには、常に警戒心を持つことが重要です。万が一被害に遭ってしまった場合は、迅速に警察や専門の弁護士に相談し、適切な対処法を検討することが被害を最小限に抑える鍵となります。


参考文献: