日本の10代の自殺増加が深刻な社会問題となる中、夏休み明けの時期に学校生活に負担を感じる小中高生の93.1%が「消えたい」と感じているという衝撃的な調査結果が発表されました。この状況に対し、NPO法人「第3の家族」は、代表の奥村春香氏自身の壮絶な体験を背景に、「寄り添わない支援」という独自のコンセプトを掲げ、若者たちが本音を吐き出せるオンラインの居場所を提供しています。
NPO法人「第3の家族」代表理事の奥村春香氏。若者の居場所づくりと精神的健康支援に尽力する姿。
夏休み明けの深刻な現実:93.1%の小中高生が「消えたい」
NPO法人「第3の家族」が2024年7月30日から8月11日にかけて実施したオンラインアンケートは、日本の若者たちが直面する深刻な心の負担を浮き彫りにしました。全国の10〜18歳で学校生活に「つらい」「つまらない」と感じている216人を対象としたこの調査では、夏休み終盤に「この世から消えたい」と感じた経験がある小中高生が驚くべき93.1%に上ることが判明。この結果は8月20日に公開され(※1)、夏休み明けの心の健康問題が喫緊の課題であることを示しています。
近年、10代の自殺者数は増加の一途をたどり、20年間で唯一増加している世代です。2004年には284人だった小中高生の自殺者数が、2024年には529人へと上昇。厚生労働省の「令和6年版自殺対策白書」でも、3章構成のうち1章を小中高生の自殺問題に割くほど、事態は深刻な局面を迎えています(※2)。
「寄り添わない支援」が若者の悩みに寄り添う場所:掲示板「gedokun」
このような複雑な問題に対し、「第3の家族」は「寄り添わない支援」という画期的なコンセプトを提唱しています。正義や道徳、温かみを押し付けることなく、少年少女が自由に悩みを吐き出せるオンライン掲示板サイト「gedokun(ゲドクン)」を運営。親しみやすいキャラクターや積極的な支援への誘導は排除され、「わかる」と「エール」というシンプルなリアクションボタンのみが設置されています。
この独自のシステムが中高生を中心に支持を集め、月に平均7000人が利用し、4年余りで累計15万件を超える投稿が寄せられています。なぜ、このような「寄り添わない」アプローチがこれほどまでに若者たちの心を掴むのでしょうか。その理由は、「第3の家族」を創設した奥村春香代表の壮絶な人生経験に深く根差しています。
「第3の家族」代表 奥村春香氏の原体験:弟の自死と家庭の崩壊
「第3の家族」代表理事の奥村春香氏は1999年に誕生しました。6歳下の弟とは非常に仲が良く、高校1年生までは家族関係も円満でした。しかし、大学受験が近づくにつれて両親は奥村氏の学業に強く口を出すようになり、家庭内の空気は次第に険悪化。奥村氏が高校を卒業し、自宅から通える大学に合格したものの、それが両親の望む進路ではなかったためか、親子喧嘩が頻繁に発生し、奥村氏は「家庭が崩壊した」と感じるようになりました。この個人的な苦悩と、後に経験する弟の自死が、「第3の家族」設立の原動力となります。
日本の10代が直面する深刻な自殺問題、特に夏休み明けの心の負担は軽視できません。NPO法人「第3の家族」が、代表理事である奥村春香氏の個人的な経験から生み出した「寄り添わない支援」は、既存の枠にとらわれず、若者たちが本音を語れる安全なオンライン空間を提供し、実際に多くの支持を集めています。この独自の取り組みが、社会全体で若者の心の健康を守る新たな道筋を示すことを期待します。
参考文献
- [1] NPO法人 第3の家族「学校生活に関するアンケート」(2024年8月20日公開)
- [2] 厚生労働省「令和6年版自殺対策白書」