プロ野球界に衝撃。2025年8月15日、中日ドラゴンズの中田翔内野手(36)が名古屋市内で現役引退を表明しました。長年のキャリアに幕を下ろす中田選手の2025年の推定年俸は3億円。この高額な年俸を受け取った翌年、大幅な収入減が予想される引退後の生活で、税金は一体どうなるのでしょうか?特に高額所得者が直面する納税問題について、専門家である小野好聡税理士が解説します。
プロ野球選手・中田翔:18年のキャリアと引退決断の真意
中田選手は2008年に北海道日本ハムファイターズでプロ入りし、その後2021年には読売ジャイアンツ、2023年には中日ドラゴンズへと移籍しました。計18年間のプロ野球生活にピリオドを打ちます。引退の決断は6月頃には固まっており、「日々野球をやっている中で満足いくスイングができない、思い通りに体が動かないと感じ、これ以上チームに迷惑をかけられない」という強い思いが背景にありました。
中日ドラゴンズの中田翔選手がバットを振る姿
年俸3億円のプロ野球選手が支払う税金の全貌:所得税と住民税の計算例
小野好聡税理士によると、プロ野球選手の年俸は個人事業主としての「事業所得」に該当します。もし中田選手の2025年の年俸が3億円と仮定し、必要経費や各種控除を考慮しない場合の税額を概算してみましょう。翌2026年に納付する税金は、所得税と住民税を合わせて合計で約1億6,294万円にも上るとのことです。これはあくまで概算であり、実際の納税額は各種控除等が適用された上で確定します。
所得税の計算:最高税率45%の適用
所得税額は以下の速算式で計算されます。
- 所得税額 =(課税所得金額300,000,000円✕税率45%)ー控除額4,796,000円=130,204,000円
- 復興特別所得税額=所得税額130,204,000円✕2.1% = 2,734,284円
- 所得税の合計額(概算):130,204,000円+2,734,284円=132,938,284円
住民税の計算:所得割と均等割
住民税は主に「所得割」と「均等割」で構成されます。
- 所得割額=(課税所得金額300,000,000円)✕税率10%=30,000,000円
- 均等割額は自治体により異なりますが、年間5,000円程度が標準です。
- 住民税の合計額(概算):30,000,000円+5,000円=30,005,000円
引退後の高額所得者が最も注意すべき「前年所得課税」の罠
小野税理士が、中田選手のように2026年以降、年収が大幅に減少する可能性のある高額所得者が税金面で最も注意すべき点として挙げるのが「住民税」です。住民税は「前年所得課税」という仕組みのため、収入が激減しても、高額所得であった2025年の年俸3億円を基準とした約3,000万円もの住民税が2026年に課税されます。この納付義務は、通常6月、8月、10月、翌年1月の4回に分けて生じます。
現役時代の高額な所得を基準とした税負担が、引退後の生活に重くのしかかる可能性は否めません。そのため、引退を見据えた納税資金の計画的な準備が極めて重要となります。
中田翔選手の現役引退は、野球界に一つの時代が終わりを告げる象徴的な出来事です。しかし、高額な年俸を受け取っていたプロスポーツ選手にとって、引退後の生活は「税金」という現実的な課題に直面します。特に住民税の「前年所得課税」の仕組みを理解し、現役時代からの計画的な納税資金の準備が、セカンドキャリアへのスムーズな移行を支える鍵となるでしょう。
【取材協力税理士】
小野 好聡(おの よしふさ)税理士・公認会計士・宅地建物取引士・介護事務管理士
介護・障がい福祉事業専門の税理士事務所。サブスク税務顧問、開業・立ち上げ支援など各種サービスを提供。同事業に強いパートナーとしてビジネスをサポートしている。
- 事務所名 :のどか会計事務所
- 事務所URL:https://nodokaya.jp/nodoka_kaikei/