ライター・編集者の笹間聖子さんが、誰もが知る外食チェーンの動向や新メニューの裏側を探る連載。第10回の後編は前編に続き、牛カツ専門店「牛カツ京都勝牛」にインバウンドが押し寄せるなぜに迫ります。
【画像】食わず嫌いしていた日本人も「美味すぎ…」と驚く?「京都勝牛」のメニューや中の様子
■牛カツがインバウンドに人気な3つの理由
牛カツ京都勝牛(以下、京都勝牛)のコンセプトは、「牛カツを寿司、ラーメン、天ぷらに並ぶ世界のブランドとして確立していこう」だ。その狙い通り、2025年現在で世界8カ国に展開し、訪れる客は、店舗によっては9割をインバウンドが占めている。
運営元の(株)ゴリップ代表 洪大記さんは、「外国人に受け入れられているのには、3つの理由がある」と分析している。
1.牛肉を使った「日本食」の新スタイル
海外でも日本と同様に、家庭で食べるのは豚と鶏が中心で、「牛肉はご馳走」と認識する国が多いという。だから牛カツは、インバウンドにとっても魅力に映るのだ。
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加えて、目新しさもある。「とんかつ、ラーメンは食べたことがあるけど牛カツってなんなんだ?」と店に入ってみると、トンカツとはひと味違うおいしさ。「これは日本食の新スタイルだ」と認識してファンになる人が後を絶たないそうだ。
2.「京都」の強さ
ブランド名にも京都というキーワードを入れるなど、京都勝牛はゴリップ発祥の地である「京都」をかなり意識してブランドを作っている。京都はロンドン、ニューヨーク、パリに匹敵する「ビューティフルな街」として世界に知られており、憧れの眼差しで見られるエリアだからだ。
「国内でも京都出身です、といったら取引先の方の反応が変わったことが何度もあります。京都発祥の会社というプライドもあります」
「京都」の強みを生かすために、さまざまな工夫もしている。たとえば食材の使い方も、京の懐石や割烹をイメージして「だし」を前面に。定食の付け合わせを赤だしにしているのをはじめ、牛カツに添える調味料には、だししょうゆ、だしをベースにしたカレーつけ汁を織り交ぜた。同じく添えられている山椒塩も、京都名産の山椒にこだわっている。