タレントの石原良純氏が9月1日、『羽鳥慎一モーニングショー』で北海道の熊出没問題について語り、大きな注目を集めた。9月1日から始まった「緊急銃猟」制度の導入を背景に、石原氏は猟友会への敬意を表しつつ、将来的な自衛隊の活用をも視野に入れた独自の熊対策を提言。住民の安全と効果的な問題解決に向けた新たな議論を喚起している。
北海道の熊出没増加と「緊急銃猟」制度の導入
近年、北海道内では市街地を含む様々な場所での熊の目撃情報や人身被害が相次ぎ、地域住民の安全が脅かされる深刻な社会問題となっている。これを受け、北海道では9月1日から、市街地での熊の駆除を目的とした新たな「緊急銃猟」制度を施行した。この制度により、これまで警察官の許可なしでは原則禁止されていた市街地での発砲が、「住民などに猟銃で危害を及ぼす恐れがない」といった一定の条件を満たした場合、市町村長の責任のもと、猟友会のハンターによって可能となる。番組では、本業を持つ中で緊急時に迅速に対応する猟友会の人々の多大な苦労と献身が報じられた。
石原良純氏がテレビ番組で北海道の熊出没問題と対策について意見を述べる様子
石原良純氏が語る猟友会への敬意と現状への危機感
新制度について石原良純氏は、猟友会が地域の安全を守るためにボランティアとして活動していることに対し、深い敬意と感謝の念を表明した。彼は、「自分たちの街を自由に歩けない不自由さ、危険を考えたら、そこに猟友会の方が立ち上がってくれているという思いを持たなければならない」と述べ、彼らの活動に対する一部の批判的な意見に対し、理解を求めた。
また、熊の出没が頻発する現状に対し、石原氏は強い危機感をあらわにした。「熊の個体数が増えたことや、里山が減少して人間との距離が近くなったことが要因とされているが、2023年頃から事案が増加し、猛暑のような気候変動も関係しているかもしれない」と指摘。山の環境変化が進む中で、今後さらに熊の出没数が増加した場合に、この新しい制度や猟友会だけで対応しきれるのか、という根本的な問いを投げかけた。
専門家としての自衛隊活用提言
現在の熊対策の限界と将来的なリスクを踏まえ、石原氏は具体的な解決策として「自衛隊の投入」という持論を展開した。彼は「拳銃や銃器に関しては、一番プロフェッショナルである自衛隊の方が入ってこないと守れなくなる時も来るかもしれない」と述べ、専門的な能力を持つ組織の関与の必要性を強調した。さらに、猟友会の人々が本業の傍ら、次の熊の現場へ向かう体力的・精神的負担がいかに大きいかを慮り、彼らへの配慮も示した。
石原良純氏の提言は、北海道の熊出没問題が住民の生活安全に関わる喫緊の社会問題であることを改めて認識させた。猟友会の献身的な活動への感謝と現状の限界を指摘し、専門性を持つ自衛隊の活用という新たな視点を提示したことは、今後の熊対策の議論に多角的な選択肢をもたらすだろう。