今期、日本に搬入するノルウェー産サバは過去最高値となる前年同期比5割高のキロ650~640円(C&F、運賃込み価格)とノルウェー現地からオファーが出ており、国内の業者に衝撃を与えている。同価格は日本市場向けの主要サイズとなる1尾400~600グラム。国内の加工業者からは「サバの価格帯ではなくなった。買いたいが全く手が出ない」、商社筋からは「まさに“サバクライシス”の様相を呈しており大変な状況」と悲鳴が上がる。
国内加工筋は「国内加工メーカー渡しの内販価格はキロ740~730円と見込まれる」と予測。製品価格の高騰による販売への影響が懸念される。
ノルウェー産サバの暴騰の要因は圧倒的な供給不足だ。日本はノルウェー産サバの世界最大の市場で毎年約5万トンの輸入実績があるが、今期の日本向けは3万トンに満たないと試算され、近年の輸入実績に比べて半減する可能性もある。
今期のノルウェーサバ漁の漁獲枠は前漁期比22%減の16万5298トンで、中でもアジア向けの高品質な魚を漁獲する巻網の枠は10万7996トンにとどまる。このうち、近年ノルウェー国内で増えている現地フィレー加工に約3万トンが向く。韓国と台湾向けが各2万トンとなり、残りの約3万トンを需要が伸長する中国と日本が奪い合う格好だ。
韓国の関税ゼロ措置で日本買い負け拍車
日本はノルウェー産サバに7%の輸入関税を課している一方で、韓国政府はノルウェー産サバの関税をゼロにする措置を取っている。既にノルウェー現地には韓国のバイヤーが買い付けに入っており、今期の高値でも「韓国は買うだろう」と商社筋はみる。「陸送費や人件費など諸経費が上昇する中で、キロ600円以上に上昇した価格にさらに関税が乗れば、完全に韓国に買い負ける」と警戒する。
その上で「サバは大衆魚の価格帯ではなくなり、もはや高級魚だ。国産の漁獲も見込めない中、消費がどこまで高値に付いてくるかが課題」と消費への影響を懸念する。