ゼレンスキー大統領「米国が支援すればウクライナも韓国のように発展可能」強調:地政学的情勢と安保の課題

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、米国からの支援があれば、ウクライナも韓国と同様の経済発展を遂げることが可能であるとの見解を示しました。3日(現地時間)、仏メディア「ル・ポワン」のインタビューに応じたゼレンスキー大統領は、「朝鮮戦争後に南北に分断されながらも経済発展を成し遂げた韓国のシナリオが、ウクライナでも再現される可能性はある」と述べ、このシナリオの実現性について「何でも可能だ」と重ねて強調しました。この発言は、ウクライナの将来的な復興と安全保障における米国の役割を強く打ち出すものとして注目されます。

ゼレンスキー大統領、韓国モデルの可能性と米国の役割を強調

ゼレンスキー大統領が言及した「韓国式シナリオ」の核心は、米国の軍事支援にあります。同大統領は、「韓国が北朝鮮の脅威から身を守る強力な同盟国である米国を後ろ盾にしている点に注目すべきだ」と指摘。さらに、「韓国は多くの防空システムを備え、安全を保障されている」とし、「ウクライナも韓国が保有するパトリオットシステムのような信頼できる安全保障を確立することを決意している」と述べました。実際、韓国は米国開発のPAC2、PAC3などのパトリオット防空ミサイルシステムを輸入・運用しているほか、国産の天弓(M-SAM)なども活用し、独自の多層防空網(KAMD)を構築しています。

ゼレンスキー大統領が韓国モデルに言及、米国の軍事支援の重要性を強調ゼレンスキー大統領が韓国モデルに言及、米国の軍事支援の重要性を強調

ロシアの脅威と韓国モデルの限界

一方で、ゼレンスキー大統領は韓国の安全保障における課題にも触れています。「韓国経済は繁栄し、同盟国(米国)に保護されているものの、北朝鮮が現在の体制で存在し、指導部の性格が変わらない限り、完全に保護されることはない」と語り、潜在的な危険性を指摘しました。さらに、ウクライナが直面する脅威は韓国とは大きく異なるという認識を示し、「北朝鮮の人口が約2000万人であるのに対し、ロシアの人口は1億4000万人以上であり、ロシアの脅威は北朝鮮に比べて5倍、6倍、さらには10倍も大きい」と説明。このため、「韓国の経済モデルは優れているが、ウクライナの安全保障の側面では、韓国式のシナリオをそのまま再現することが適切ではないかもしれない」との見方を示しました。

中国軍事パレードと対西側連帯の誇示

ゼレンスキー大統領のこの発言は、中国で大規模な軍事パレードが開催された直後になされたものであり、その背景も注目を集めています。70分間にわたって閲兵と軍事パレードの2段階で実施されたこのイベントでは、中国は最大射程距離が約1万4000キロに及び、米本土全域を含む全世界を射程圏に収めると推定される次世代多弾頭大陸間弾道ミサイル(ICBM)DF(東風)-61など、陸海空の最新兵器を公開しました。

特に、この軍事パレードでは、ロシアのプーチン大統領と北朝鮮の金正恩国務委員長がそれぞれ儀典序列1位、2位として優遇されました。これは米国や欧州などの西側諸国に対抗し、中国が北朝鮮、中国、ロシアの結束、いわゆる「反西側連帯」を誇示したものと分析されています。このような時期にゼレンスキー大統領が米国の軍事支援とウクライナの発展可能性に言及したことは、米国の支援を通じたウクライナの安全保障を強調するメッセージであり、西側諸国がロシアの脅威に共同で対応すべきだという意図が込められていると解釈されます。

ロシアの空襲とプーチン大統領の会談提案

このような地政学的な動きの中、ロシアはウクライナ全域に対する大規模な空襲を継続しました。ウクライナ空軍の発表によると、ロシアはプーチン大統領が中国の軍事パレードに出席している間にも、約500機のドローンと20発余りのミサイルでウクライナを攻撃。ウクライナ空軍は「ロシア側のドローン430機とミサイル21発を撃墜または無力化した」と伝えましたが、攻撃が成功した地域では住宅や民間施設が損傷し、負傷者も発生したと報じられています。

その一方で、プーチン大統領はゼレンスキー大統領との二国間会談を提案する動きも見せました。ロシアのタス通信などによれば、プーチン大統領はこの日、中国北京での記者会見で二国間会談の可能性に言及し、「ゼレンスキー大統領が準備できるなら、彼がモスクワを訪れるべきだ。そのような会談は開かれるだろう」と述べました。しかし、ゼレンスキー大統領は、プーチン大統領が軍事パレードを参観中にロシアが空襲を行ったことをX(旧Twitter)への投稿や記者会見で強く批判。「これは明確に誇示的攻撃であり、ロシアが停戦の努力を一切拒否し、戦争を続けることを望むという明白な信号だ」と主張し、プーチン大統領との直接会談の要求をこれまで続けてきたにもかかわらず、今回のロシアの行動に対する不信感を露わにしました。

結論

ゼレンスキー大統領の「韓国モデル」発言は、ウクライナが戦後の復興と安全保障において、米国からの強力な軍事支援を不可欠と考えていることを明確に示しています。しかし、ロシアからの脅威の規模が北朝鮮と比較してはるかに大きいという認識は、ウクライナが直面する独自の困難を浮き彫りにしています。中国の軍事パレードで露呈した反西側連帯の強化、そしてロシアによる継続的な空襲と、それにもかかわらずプーチン大統領が提案する会談は、ウクライナ情勢が依然として複雑かつ流動的であることを示しており、国際社会の動向がウクライナの将来に決定的な影響を与えることは間違いありません。

参考文献