笹川尭氏、石破茂氏の現状に懸念表明 「理論と理屈だけでは人は動かせない」と辛口エール

自民党内で総裁選の前倒し実施が議論される中、元自民党総務会長で衆議院議員を7期務めた笹川尭氏(89)が、BS-TBSの「報道1930」にVTR出演し、石破茂氏の置かれた現状について自身の率直な思いを語りました。笹川氏は、石破氏とは当選同期で、長年にわたり弟分のように見守ってきた間柄として、深い洞察と懸念を示しています。

笹川尭氏が語る石破茂氏への懸念

笹川氏は、石破氏の政治状況を「心配ですよ。朝から晩まで」と表現し、その心情を吐露しました。参議院選挙を含め3連敗を喫し、党内では総裁選前倒しの声が上がる現在の状況は、笹川氏にとって看過できない問題です。彼は石破氏との親密な関係に触れ、かつて渡辺美智雄氏から「よろしく。面倒見てくれ」と託された経緯を明かし、石破氏を弟のように可愛がってきたからこそ、その苦境に心を痛めている様子が伺えます。

自民党総裁選を巡る議論の中心にいる石破茂氏自民党総裁選を巡る議論の中心にいる石破茂氏

「理論と理屈」から「人心掌握」へ:石破氏への辛口エール

党内で「党内野党」と称され、味方が少ないと指摘される石破氏に対し、笹川氏は具体的なアドバイスを送りました。彼は「石破氏は理論と理屈で世の中が通ると思っているから。それじゃあ、人は口説けねえ」と指摘し、政治家として人々を説得し、「一緒に行こうよ。行きましょうよ」と思わせる「人心掌握」の重要性を強調しました。これは、単なる政策論議を超え、共感と信頼を築くことの必要性を示唆する、笹川氏ならではの辛口ながらも愛情のこもったエールと言えるでしょう。

総裁選前倒し議論に一石:責任論と出馬への提言

現在、総裁選前倒しを求める意思確認の書面提出が迫る中、笹川氏は「あいつがいいとかこいつが悪いとか、そんな話とは違うんじゃないかなと」と、政治の現状が「お家騒動」と化していることに疑問を呈しました。彼は、石破氏の政権運営について「これは間違っている」「もっとこうした方がいい」といった具体的な意見であれば理解できるとしつつも、「ただ責任取れ…自分に全く責任がないかのようだが、自由民主党の所属議員には全部責任がある」と、石破氏降ろしを声高に叫ぶ議員たちに対し、連帯責任の意識を持つよう苦言を呈しました。

政策で問うべき「信」:石破氏の続投を後押し

総裁選の前倒し実施が決まった場合の石破氏の対応についても、笹川氏は明確な見解を示しました。「規則は規則として尊重して、あんたはあんたとして続投したいと言ったんだから、当然立候補すべき。これが結論よ」と述べ、党内に改めて信を問うため、石破氏が出馬すべきだと主張しました。さらに、「政策で負けたんじゃない。出ればいい。私はこのことをやりたいと、今まで通り。それで賛否を問えばいい。ダメだったらそれは仕方がない。民主主義だもん」と、政策を通じて国民や党員の審判を仰ぐことの重要性を強調し、石破氏の続投を力強く後押しする姿勢を見せました。

結論

笹川尭氏の発言は、石破茂氏の現在の政治的立場に対する深い理解と、今後の進むべき道への具体的な示唆に満ちています。単なる表面的な批判ではなく、長年の経験から培われた政治家の視点から、石破氏が直面する課題、特に「人心掌握」の必要性や、総裁選における「政策を通じた信を問う」ことの重要性を明確に提示しました。この発言は、自民党内の総裁選を巡る議論に新たな視点をもたらし、石破氏自身の今後の判断にも大きな影響を与える可能性があります。

参考文献