ロシアのプーチン大統領は、ウクライナのゼレンスキー大統領との首脳会談に応じる用意があると改めて表明しました。しかし、会談の場所をモスクワに指定し、ゼレンスキー氏の正当性に疑問を呈するなど、実現には依然として大きな障壁があることを示唆しています。ウクライナ戦争の終結に向けた和平交渉は、両国の間に深い溝が横たわり、見通しは不透明なままです。
プーチン大統領、ゼレンスキー氏とのモスクワ会談を改めて提案
プーチン大統領は5日、極東ウラジオストクで開催された「東方経済フォーラム」の全体会合で、ゼレンスキー大統領との首脳会談について「応じる用意がある」と発言しました。その上で、会談場所をモスクワとし、「安全は100%保証する」と述べました。会談を希望する側が場所を指定するのは「過剰な要求」であると、ウクライナ側の姿勢をけん制しています。
ロシアのプーチン大統領、ウラジオストクでの東方経済フォーラムでウクライナ首脳会談について発言
ゼレンスキー氏の「正当性」に疑問、和平交渉の困難さ示唆
一方で、プーチン大統領はゼレンスキー氏の大統領としての「正当性」に疑問を呈し、「会談の実施に意味があるか疑問であり、主要な問題で合意することは事実上不可能だ」と話し、交渉の実現性自体に懐疑的な見方を示しました。これに対しウクライナ側は、ロシアが非現実的な提案で会談を回避しており、戦争終結の意思が見えないと強く非難しています。
外国軍のウクライナ展開に警告、相互的な安全保障を主張
プーチン大統領はさらに、外国の軍がウクライナに展開した場合、「戦闘中に駐留すれば、合法的な攻撃対象となる」と警告を発しました。また、欧州諸国などが議論する「安全の保証」については、「ロシアとウクライナの双方に策定されるべき」との見解を表明しました。これは、一方的な安全保証ではなく、相互的な枠組みを求めるロシアの立場を強調するものです。
和平への道は依然として遠く、解決の見通し立たず
プーチン大統領の最新の発言は、表向きは対話の姿勢を示しながらも、モスクワ会談の条件やゼレンスキー氏の正当性への疑義、そして外国軍への警告など、交渉のハードルを高く設定している現状を浮き彫りにしました。両国の和平に向けた溝は深く、戦争終結への具体的な見通しは依然として立っていません。国際社会は、対話の可能性と同時に、長期化する紛争の現実を注視しています。