プーチン露大統領、ウクライナ駐留の西側軍隊は「正当な標的」と警告:NATO関与を「根本原因」と主張

ロシアのプーチン大統領は、ウクライナに駐留する西側諸国の軍隊が「正当な標的として打ち負かされる」と強く警告しました。この発言は、西側数十カ国がウクライナへの平和維持部隊派遣に貢献する意向を示した直後に出されたものです。ロシアとウクライナ間で停戦合意が成立した場合、これらの部隊が派遣される可能性があり、国際社会の緊張が一段と高まっています。

プーチン大統領の警告:ウクライナへの西側軍隊は「正当な標的」に

プーチン大統領は5日、ロシア極東で開催された経済フォーラムにおいて、ウクライナに軍隊が現れることは「この戦争の根本原因の一つだ」と指摘しました。同大統領は、ウクライナを北大西洋条約機構(NATO)に引き込もうとする動きが紛争の根源にあると主張し、「もしウクライナに軍隊が現れるならば、現行の戦闘が続いている間は特にそうだが、我々は彼らを正当な標的とみなし、これを打ち負かすだろう」と強調しました。これは、停戦合意の有無にかかわらず、西側軍隊のウクライナ駐留に対してロシアが断固たる姿勢で臨むことを示唆しています。

プーチン露大統領、ウクライナにおける西側軍隊を標的と警告する経済フォーラムでの演説プーチン露大統領、ウクライナにおける西側軍隊を標的と警告する経済フォーラムでの演説

ゼレンスキー大統領の「安全の保証」と西側諸国の支援

一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は4日、26カ国が「様々な形で」ウクライナの安全の保証を「支持している」と明らかにしました。同大統領は、関係国間で「プレゼンスを維持することで同意した」と述べ、その形態は国によって異なると付け加えました。この「プレゼンス」には、空、海、そして陸からの支援が含まれるとされ、ウクライナの防衛力強化と将来的な安全保障体制の確立に向けた国際社会のコミットメントを示しています。

停戦合意後の展開とクレムリンの見解

プーチン大統領は、もしロシアとウクライナの間で停戦が合意されれば、第三者の介入は不要であるとの見解を示しています。「長期的な平和につながる決定が下されれば、彼らがウクライナ領内に駐留する理由は全く見当たらない」と述べ、合意が成立すればロシアはそれを完全に履行すると主張しました。

しかし、クレムリンのペスコフ報道官は同日、戦争終結後にはロシアとウクライナの両国に安全の保証が提供されるべきだとの考えを示し、プーチン大統領の発言とは異なるニュアンスを含んでいます。ロシア国営メディアRIAノーボスチによると、ペスコフ報道官は「この紛争の根本原因の一つは、我が国に対する安全の保証の基盤が揺らぎ始めたからだ。ウクライナがNATOに引き込まれ、NATOの軍事インフラが我が国の国境に向かって移動し始めた時にそれは起きた」と述べ、和解プロセスにおいて双方への保証が必要だと強調しました。ロシア当局はこれまでも、ウクライナの主権国家としての存在や冷戦終結以降のNATOの東方拡大を紛争の「根本原因」として頻繁に挙げています。

結論

プーチン大統領の強硬な警告は、ウクライナを巡る国際情勢の複雑さと、西側諸国とロシア間の深い亀裂を改めて浮き彫りにしました。NATOの拡大を紛争の根本原因と見なすロシアの主張と、ウクライナの安全保証を求める国際社会の動きは、今後の停戦交渉や平和構築プロセスにおいて大きな課題となるでしょう。西側諸国がウクライナ支援を継続する中で、プーチン大統領の警告が現実の行動にどう影響するのか、国際社会は注視しています。

参考文献