韓国で、ごく軽微な自動車の接触事故が、相手方による「脳震盪」の主張と高額な補償要求に発展し、大きな波紋を呼んでいます。この問題は、交通法専門YouTubeチャンネル「ハン・ムンチョルTV」で取り上げられ、保険制度の悪用や過剰診療の可能性が指摘されており、多くの人々が関心を寄せています。
サイドミラー接触事故の経緯と双方の主張
事の発端は8月28日に「ハン・ムンチョルTV」で紹介された事例です。投稿者のドライブレコーダー映像によると、投稿者が車線変更を試みた際に、隣を走行していた車のサイドミラーに時速20km未満で軽く接触。目立った損傷もない極めて軽微な事故でした。当初、投稿者は5〜10万ウォン(約5千〜1万円)程度の示談金を考えていましたが、相手ドライバーは誰かと通話後、一転して保険処理を要求。さらに「脳震盪の診断書」を提出し、追加の人身被害補償を求めてきたのです。
ハン・ムンチョルTVのロゴとサムネイル。軽微な交通事故における保険詐欺の疑いを議論する専門チャンネルのイメージ。
警察と保険会社の対応、そして投稿者の戸惑い
警察は投稿者に対し、「安全運転義務違反」として罰点10点と罰金4万ウォン(約4千円)を科しました。しかし、事故の性質については「スリ傷程度の接触で、人的被害が発生する可能性は極めて低い」と評価しています。にもかかわらず、投稿者が加入している保険会社は、「診断書がある以上、補償しないわけにはいかない」との見解を示しました。保険会社の関係者は、たとえ過剰診療が疑われても、それを立証する方法がないため、原則として合意に応じざるを得ない現状を説明しています。投稿者は物損は認めるものの、不当な人身被害の主張には納得できず、保険会社にできることはないのかと訴えています。
専門家ハン・ムンチョル弁護士の指摘と具体的な対策
この事案に対し、ハン・ムンチョル弁護士は「診断書をぜひアップしてほしい。この程度の接触で本当に脳震盪? 保険詐欺ではないかと疑うレベル」と強い疑問を呈しました。さらに、具体的な対処法として、保険会社の顧問医に確認を依頼すること、診断書を発行した医師に保険会社から所見書を求めること、あるいは保険会社のSIU(特別調査部門)に調査を依頼することをアドバイス。診断書の有無によって保険処理が大きく変わる現状に、多くの視聴者からも「悪用される構造になっている」「医師の診断に一石を投じるべきだ」といった声が寄せられています。
結論
今回のケースは、軽微な交通事故においても、医師の診断書一枚で高額な補償問題に発展しうる韓国の保険制度の課題を浮き彫りにしています。正当な補償と悪質な保険詐欺の線引きが難しい現状は、制度の透明性向上と、より厳格な診断のあり方について再考を促すものと言えるでしょう。
参考資料
- KOREA WAVE/AFPBB News
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