石破首相辞任の舞台裏:菅・小泉氏が仕掛けた「退陣劇」専門家が解説

政治ジャーナリストの田崎史郎氏が、テレビ朝日系「有働Times」に生出演し、石破茂首相の辞任発表に至るまでの舞台裏を詳細に解説しました。石破首相が自由民主党総裁の職を辞し、次期総裁選への不出馬を表明したこの急展開は、政界に大きな波紋を広げています。

石破氏の辞任は、参院選での惨敗を受け、党内で高まる「石破降ろし」の動きに直面する中で行われました。特に、8日に事実上の退陣勧告となる総裁選前倒しが決議される直前のタイミングでの発表となりました。この動きの決定打となったのは、6日夜に行われた菅義偉副総裁と小泉進次郎農相との会食だったと、田崎氏は指摘します。

急転直下の辞任表明:総裁選前倒し阻止へ

石破首相は、この日の午後、首相官邸で記者会見を開き、「このたび私は自由民主党総裁の職を辞することといたしました」と述べました。同時に、首相の座からも退き、来たる次期総裁選には出馬しない意向を明確にしました。

この決断の背景には、先の参議院選挙での大敗があり、これを受けて党内では石破首相の責任を問う声が日増しに強まっていました。「石破降ろし」と呼ばれるこの動きは、総裁選の前倒し決議へと繋がり、石破氏はこの決議が行われる前夜に辞任を発表する形となりました。これは、党内のさらなる分断を避けるための苦渋の決断だったと見られます。

辞任の決定打となった「6日夜の会食」

田崎氏によると、石破首相の辞任に決定的な影響を与えたのは、6日夜に実施された菅義偉副総裁、そして小泉進次郎農相との会食でした。この席で、両者は党の将来に関する共通の強い思いを共有していたといいます。決議によって党の分断がこれ以上深まることを懸念し、菅氏と小泉氏の二人は「それ(党の分断)のために総裁選の投票をさせてはいけない」という考えで一致していたと、田崎氏は解説しました。

石破茂首相、辞任会見での表情石破茂首相、辞任会見での表情

菅・小泉氏による「退陣劇」の経緯

田崎氏の詳しい解説によれば、今回の「退陣劇」は、菅氏と小泉氏が主導する形で進行したと見られます。まず、5日には菅氏が石破首相に電話をかけ、「自主的に辞めた方がいい」と直接的な進言を行いました。しかし、この時点では石破氏に辞任の兆候が見られなかったため、翌6日の午前中、小泉氏が菅氏に連絡を取りました。小泉氏は、4年前に自ら辞める決断をした菅氏の経験を踏まえ、「電話だけでなく、直接お会いになって説得された方がよろしいのでは」と提案したといいます。

この小泉氏の提案を受けて、日程調整が行われ、同日夜に3人での協議が実現しました。この場で菅氏が改めて石破氏を説得し、結果として石破氏の辞任表明へと繋がったとされます。田崎氏は、この一連の動きを通じて「菅さんと進次郎さんはこの問題を協議しているので、菅さんと進次郎さん主導の退陣劇だと思います」と自身の見解を述べ、今回の政局における両名の重要な役割を強調しました。

結論

石破茂首相の突然の辞任は、参院選での惨敗と党内の「石破降ろし」という背景に加え、菅義偉副総裁と小泉進次郎農相という二人のキーパーソンによる周到な働きかけが決定打となりました。政治ジャーナリストの田崎史郎氏が明らかにした舞台裏は、党内融和を目的とした「退陣劇」であったことを示唆しており、今後の自由民主党の政局にどのような影響を与えるか、注目が集まります。

参考文献