【KOREA WAVE】近年、世界的に職場の多様性や労働者の権利意識が高まる中、韓国の企業で「新入社員による職場トラブル」が深刻な問題として浮上しています。特に、放送局JTBCの番組「事件班長」で取り上げられた事例は、多くの企業が直面する現代の労働問題の一端を露呈し、大きな波紋を呼んでいます。この問題は、日本を含む各国の企業文化や人事戦略にも示唆を与えるものです。
新入社員の「独自ルール」と業務怠慢
問題の発端は、韓国の30代後半の男性会社員が経験した、20代の大学新卒女性新入社員による常識外れの行動でした。当初は真面目に見えたこの女性社員は、間もなく遅刻が常態化。出社後も髪にカーラーを巻いたままコーヒーを飲み、机にカメラを置いてブログ撮影を始めるなど、業務に全く集中しない姿が目立つようになりました。さらに「50分働いたら10分休む」という独自の休憩ルールを勝手に設け、頻繁に席を空け、定時にはきっちり退社するという徹底ぶりでした。
オフィスでパソコンに向かう女性新入社員の様子。業務中に私物を扱う姿を暗示。
彼女の行動はオフィス内での備品利用にも及び、会社のカプセル式コーヒーマシンを1日3回利用し、休憩室の菓子やカップ麺を無断で持ち帰るなど、やりたい放題でした。男性社員が業務集中を促す注意を与えると、カカオトークのプロフィールに「はいはい」と小ばかにするような書き込みで反発。電話で問いただすと、「面白いからやっただけ」と開き直るなど、反省の色は一切見られませんでした。
親の介入と社長の「我慢」要請
事態はさらにエスカレートし、翌日には女性社員の母親が会社に現れ、「結婚もしていない娘に夜中に電話をかけて嫌がらせするとは何事か」と男性社員に大声で抗議するという驚くべき展開となりました。この件に対し、社長からは男性社員に対し「彼女は失業給付を受けるために1年だけ勤めるつもりらしい。しばらく我慢してくれ」と慰めと、半ば諦めの言葉が伝えられたといいます。
社長の言葉は、企業側が解雇のリスクやハラスメント訴訟を恐れ、問題社員への対応に及び腰になっている現状を浮き彫りにしています。この背景には、厳格な労働法や、一度トラブルになると企業イメージや経済的損失が大きいという懸念があると考えられます。
エスカレートする要求と職場の限界
社長の言葉を聞いてさらに図に乗った女性社員は、業務を振られるたびに「それは課長の仕事では?」「なぜ私に押しつけるのですか」と公然と反発するようになりました。さらに「昼食を抜くので1時間早く帰らせてほしい」といった常識外れの要求を突きつけるなど、行動はますます過激化しています。男性社員は、「同僚たちの不満は限界に達しているが、職場いじめや不当解雇で訴えられるのが怖くて何も言えない」と、職場の苦境を訴えています。
この事例は、単なる個人間の問題に留まらず、現代社会における労働環境、特に新入社員の教育やメンタルヘルス、企業の人事戦略、そしてハラスメント対策の難しさなど、複合的な課題を提起しています。企業が従業員の権利を尊重しつつ、円滑な職場運営をいかに実現していくか、その模索が続いています。
参考文献
- KOREA WAVE/AFPBB News. (2025年9月9日). 韓国「モンスター新入社員」問題. Yahoo!ニュース.
- JTBC「事件班長」番組アーカイブ. (参照日不明). (上記記事で情報が引用された番組).