【環球異見】香港人権法 中国・人民日報「火に油を注いだ」米を非難



12月1日、香港で米国の星条旗や段幕を掲げてトランプ米政権に民主化への支援を訴える市民ら(AP)

 中国の習近平体制に、香港でのデモ弾圧を自制するよう圧力をかける米国の「香港人権民主法」が11月27日に成立し、米中の人権問題に関する対立が深まっている。米下院は12月3日、中国新疆ウイグル自治区で少数民族のウイグル族を弾圧する中国当局者に制裁を科すよう米政府に求める「ウイグル人権法案」を可決した。米メディアが香港人権民主法を評価する一方、中国メディアは米国への不満を強めている。

 □中国 人民日報

 ■「火に油を注いだ」米を非難

 香港人権民主法の成立を受けて、中国官製メディアは米国に対する批判のボルテージを上げた。

 中国共産党機関紙、人民日報は2日付1面に「暴乱の扇動は必ず唾棄される」という論評記事を掲載した。この中で香港人権民主法について「甚だしく事実を歪曲(わいきょく)し、極めてたちが悪く、非常に陰険で下心がある」と言葉を連ねて非難した。

 米国が同法を成立させたことについては「事実を無視し、白黒を逆さまにし、公然と暴力犯罪分子に肩入れして元気づけた」と指摘した。さらに、「暴力を止めて動乱を制して秩序を回復させることが早急に必要とされる香港情勢において、わざと火に油を注いだ」とも主張し、米側の不当性を強く訴えた。

 中国官製メディアは、香港で続く政府への抗議デモについて、「テロリズムの性質を明らかに備えている」との評価を前提にしている。

 その上で人民日報の論評記事は、香港情勢に関する米側の見解に対して「暴力犯罪行為を『美しい情景』と言いなし、警察側の極めて抑制した法執行を『暴力的な鎮圧』と言う」と反論。「多くの人々は『米国の政治屋の良心はどこにあるのか? 人間性はどこにあるのか?』と問わざるを得ない」と不満を爆発させた。

 香港の抗議デモが本格化して以降、中国側では「デモの黒幕は米国だ」という見方が広がっている。そういった米国への反発が、香港人権民主法の成立で一気に高まっているといえる。

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