草津町長セクハラ疑惑に終止符:新井元町議への有罪判決確定で町の汚名返上へ

日本屈指の温泉街として国内外に知られる群馬県草津町を襲った、長きにわたる”セクハラ疑惑騒動”が、ついに決着を迎えました。黒岩信忠町長にレイプされたと虚偽の告発を行った新井祥子元町議に対し、前橋地方裁判所が2023年9月29日に下した虚偽告訴と名誉毀損の罪による懲役2年、執行猶予5年の有罪判決が、10月15日に確定。これにより、草津町と町長が背負った汚名に終止符が打たれる形となりました。

日本屈指の温泉地、群馬県草津温泉街の賑わい日本屈指の温泉地、群馬県草津温泉街の賑わい

虚偽告発から6年、町長の苦悩と全面勝訴

黒岩町長は、一連の騒動が始まった2019年11月の電子書籍出版から約6年もの歳月が流れたことを振り返り、「本当に長かった」と胸の内を明かしました。問題となったのは、とあるライターが執筆した電子書籍「草津温泉 漆黒の闇5」に掲載された、新井氏の直筆と称する告発文。「私 新井祥子は平成27年1月8日、町長室にて黒岩信忠町長と関係を持ちました。以上のことを、深く反省し、告白いたします」と記された内容は、町長にとって青天の霹靂であり、事態の重大性を瞬時に察知したといいます。書籍にはさらに、「この町では女性はまるで“モノ扱い”です。有力者や宿の主人の愛人になるというのも昔からよくあること」など、草津町全体のイメージを著しく貶める記述も含まれていました。

町長は告発内容を知ってからわずか1時間以内に、地元の長野原警察署へ連絡し、刑事課長から「明らかな名誉毀損に当たる」との見解を得て被害届を提出。同時に顧問弁護士にも民事・刑事手続きを依頼し、複数の新聞社にも事情を説明するなど、迅速な初動で対応にあたりました。このたびの有罪判決確定により、町長は自身の潔白を証明し、全面的に勝訴を勝ち取ったことになります。

虚偽告発と名誉毀損で有罪判決が確定した新井祥子元草津町議虚偽告発と名誉毀損で有罪判決が確定した新井祥子元草津町議

世界を巻き込んだ“日本の性暴力政治家”問題と町のイメージ毀損

しかし、町長の迅速な対応にもかかわらず、騒動の長期化は避けられませんでした。新井氏の議会での発言が問題視され、住民投票によるリコール(解職請求)が有効投票の9割以上の賛成で成立したにもかかわらず、新井氏が会見を開いたり、一部のフェミニストが彼女を支援したりする中で、黒岩町長だけでなく草津町のイメージは著しく悪化の一途を辿りました。特に決定的だったのは、2020年12月18日に新井元町議が日本外国特派員協会で行った会見です。

この会見を受けて、アメリカではニューヨーク・タイムズをはじめとする主要5紙、イギリスではガーディアン紙などがこぞって報道。フランスからはわざわざ記者が草津町まで取材に訪れる事態となり、国際社会では「日本には日常的に性暴力を繰り返す政治家がいる」という誤った認識が広まってしまいました。この報道は草津町の観光イメージに深刻な打撃を与え、町全体が性暴力が横行する不健全な場所であるかのような印象を植え付けてしまったのです。

騒動の終結と今後の草津町

今回の有罪判決確定により、約6年にわたる草津町長セクハラ疑惑騒動はようやく法的な決着を迎えました。虚偽の告発とそれによって引き起こされた名誉毀損は、一地方自治体の問題に留まらず、国際的な日本のイメージにも影響を及ぼす事態に発展しました。判決は、事実に基づかない告発がいかに個人と地域社会に甚大な被害をもたらすかを示しています。今後、草津町がこの教訓を活かし、温泉地としての本来の魅力と信頼を取り戻し、新たな発展を遂げるための取り組みが期待されます。

参考文献