【中東ウオッチ】揺らぐイラン勢力圏 “お膝元”レバノン、イラクでデモ拡大

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12月15日、レバノンの首都ベイルートで、治安部隊が撃ち込んだ催涙弾を蹴飛ばすデモ参加者(AP)

12月15日、レバノンの首都ベイルートで、治安部隊が撃ち込んだ催涙弾を蹴飛ばすデモ参加者(AP)

 中東のイラクとレバノンで、反政府デモが広がっている。ともに経済低迷が発端で、宗派や民族別に権力を分散する既存の政治体制の転換を求めている。実は、デモの長期化を最も恐れているのが、イスラム教シーア派大国のイラン。シーア派勢力への支援を通じてイラク、レバノンへの影響力を強め、両国を勢力圏に置こうとする戦略に狂いが生じかねないためだ。(カイロ 佐藤貴生)

■権力分散は裏目に

 イラクとレバノンで機能不全の政府に対する抗議デモが始まったのは10月のことだ。イラクでは治安部隊の発砲などで450人以上が死亡。レバノンでも財政危機で通貨価値が急落、銀行は米ドル引き出しを制限している。両国とも混乱の責任をとる形で首相が辞意を表明したが、反発が収まる気配はない。

 市民がスローガンとして掲げているのは、宗派や民族にかかわらず、国民全体に奉仕する世俗的なテクノクラート集団の統治だ。

 宗派や民族が混在するレバノンは、1943年にフランスの委任統治から独立する際、権力のバランスを取るべく、大統領はキリスト教マロン派、首相はイスラム教スンニ派、国会議長はシーア派から選出することが慣例となった。

 一方、イラクでも少数派であるスンニ派のフセイン元大統領による独裁が倒れた2003年以後、レバノン同様に大統領は少数民族のクルド人、首相は多数派のシーア派、国会議長はスンニ派から選ぶことが不文律となった。

 こうした権力配分システムには、宗教・宗派間の権力闘争が激化するのを抑止して国政を安定化させる狙いがあったが、現実には、それぞれの勢力が利益誘導を図る動きが活発化。政府や国会は利権の「取引の場」(米紙ニューヨーク・タイムズ)と化し、汚職も拡大して経済が窒息状態に陥った。

■戦略揺らぐイラン

 さらに、イラクとレバノンのデモ隊の怒りは、イランに向きつつある。イランは、イラクで国民の約6割、レバノンで約3割を占めるシーア派人口をテコに影響力の浸透を図ってきたからだ。

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