ミシュランガイド東京2026発表:新たな三つ星と「クリエイティブ」カテゴリーの進化

9月25日、「ミシュランガイド東京 2026」のレストランセレクションが発表されました。今回、掲載軒数は昨年から19軒増の526軒に上り、2007年の日本初上陸以来、ミシュランガイドが東京のレストランの裾野を広げ続けていることを示しています。しかし、一方で、ここ数年「星の獲得が難しくなった」という声も聞かれ、約10年前と比較して二つ星が半減するなど、東京の美食シーンにおける評価基準の変化が注目されています。

開業わずか3年で三つ星昇格を果たした日本料理店「明寂」の快挙

2026年版のセレクションでは、1軒が三つ星に、3軒が二つ星に昇格するという大きな動きがありました。特に注目を集めたのは、日本料理店「明寂」の三つ星昇格です。中村英利氏が2022年に開業したこの店は、開業わずか7カ月で二つ星を獲得し、その後の3年間で最高峰の三つ星へと駆け上がりました。京都宮津湾の海底湧水を使用し、水を通じて自然への敬意を表現するその料理は、多くの食通の心を捉えています。

現在の三つ星レストランは計12軒。そのうち「カンテサンス」「ジョエル・ロブション」「かんだ」の3軒は、19年連続で三つ星を維持するという偉業を達成しており、その揺るぎない品質と革新性が評価され続けています。

新たな一つ星と持続可能なガストロノミーを称える「ミシュラングリーンスター」

一つ星には新たに14軒が名を連ね、東京の多様な食文化の発展を象徴しています。また、持続可能なガストロノミーを実践するレストランを顕彰する「ミシュラングリーンスター」には、新たに13軒が選出されました。これは、環境への配慮や社会貢献といった側面が、現代のレストラン評価においてますます重要になっていることを示唆しています。

ミシュランガイド東京2026年版セレクション発表、新たなトレンドを映し出す料理の数々ミシュランガイド東京2026年版セレクション発表、新たなトレンドを映し出す料理の数々

スイーツの可能性を広げる新カテゴリー「クリエイティブ」の広がり

2025年版から新設されたカテゴリー「クリエイティブ」も、さらなる進化を見せています。スイーツをコース形式で提供するこのカテゴリーは、昨年「山」(一つ星)と「ハルカ ムロオカ」(セレクテッド)の2軒でしたが、2026年版では「ばんばくん」「九九九(くくく)」「サイカ」「ヴェール(VERT)」の4軒(いずれもセレクテッド)が新たに加わりました。「九九九」は和菓子を、「ヴェール」は日本茶を主体としつつ、和菓子と西洋スイーツの両方を提供するなど、独創的なアプローチが評価されています。

まとめ

「ミシュランガイド東京 2026」の発表は、東京のレストランシーンが絶えず変化し、進化していることを浮き彫りにしました。「明寂」の三つ星昇格に代表される新たな才能の台頭、持続可能性への意識の高まり、そして「クリエイティブ」カテゴリーに示されるスイーツの新たな表現の追求など、多角的なトレンドが読み取れます。これらの動きは、東京が世界の美食の中心地として、今後も革新を続けていくことを示唆していると言えるでしょう。

参考資料