10月28日、高市早苗首相(64)がトランプ米大統領(79)との初の日米首脳会談に臨んだ際、その後の「親密外交」と称される高市氏の振る舞いが国内外で大きな注目を集めました。これに対し、立憲民主党の辻元清美参院議員(65)は10月30日、自身のX(旧Twitter)に長文の私見を投稿。高市首相への批判が「男に媚びてきた」「女の敵は女」「ジェンダー議論の『代理戦争』」といった性差別的な論調にミスリードされていると指摘しつつ、真に検証すべきは「この局面、外交上どんな『ふるまい』が適切だったか」であると、外交の原則と国益の視点から疑問を呈しました。
高市首相のトランプ氏会談時の「親密外交」が物議:米空母「ジョージ・ワシントン」での振る舞い
今回の議論の焦点となったのは、首脳会談があった日の夕方、高市首相がトランプ氏と共に大統領専用ヘリコプターで米海軍横須賀基地を訪問した際の一幕です。基地に停泊していた原子力空母「ジョージ・ワシントン」で両首脳による演説が行われ、その最中に高市氏が“飛び入り参加”した場面が特に物議を醸しました。
トランプ氏の演説に「飛び入り参加」、その詳細
トランプ氏が演説中に高市首相を壇上に呼び寄せると、高市氏は表情を崩しながら拳を突き上げ、紹介されることに応じました。さらに、トランプ氏が「日本の株式市場は最高値を記録した」と発言した際には、サムズアップのポーズを披露。トランプ氏が体を引き寄せると、高市氏はその目を見つめる仕草を見せました。続けてトランプ氏が「素晴らしい総理大臣で、私は非常に尊敬している」と紹介すると、高市氏は再び拳を高く掲げ、ぴょんぴょんと飛び跳ねながらその場でぐるりと一回りする様子が報じられました。
米海軍横須賀基地の空母上で、トランプ前大統領の演説中に拳を突き上げ笑顔を見せる高市早苗首相。日米首脳会談後の親密な外交姿勢が注目を集めた一幕。
このほか、高市氏が会談後にトランプ氏と腕を組んで階段を下りる写真がメディアに掲載されたこともあり、これらの振る舞いが多方面で議論を呼びました。
ネットやSNSでの「威厳がない」「対等に見えない」との批判
高市首相の一連の行動に対し、インターネットやSNSでは「威厳がない」「対等に見えない」といった否定的な声が多数上がりました。同じ保守派で知られるイタリアのメローニ首相(48)がトランプ氏との会談で冷静な態度をとっていた事例と比較する声も聞かれ、高市氏の振る舞いが国際的な場における首相としての姿勢として適切だったのか、という疑問が投げかけられました。
辻元清美議員が提起する外交上の疑問:性差別論を超えた議論の必要性
こうした高市首相への批判に対し、辻元清美議員は性差別と捉えられかねない論調に異議を唱えつつも、別の視点から高市氏の振る舞いに疑問を呈しました。
メローニ伊首相との比較と「外交上の最適解」への問いかけ
辻元議員は、首相就任からわずか1週間でトランプ氏との信頼関係を築こうとした高市氏の努力を認めつつも、「疑問だったのは、アメリカ=他国の空母に乗り込んで、まるでエキサイトしているかのように見せた高市総理の『ふるまい』だ」と指摘。「高市総理にとってあれが『外交上の最適解』だったと考える方が自然だろう。つまり、考え抜いた末での選択であればこそ問題なのだと思う」と述べ、意図された外交戦略であったとすれば、その判断自体に問題があるのではないかと分析しました。
「国益」と国際社会へのメッセージ:防衛力強化宣言の意味
今回の首脳会談が世界各国からも注目を集めていたことに触れ、辻元議員は「所信でも強い言葉で安全保障政策を語った高市総理の、米原子力空母上での『防衛力を抜本的に強化』宣言は、世界にどのようなメッセージを送ったのか」「『多角的な外交・安全保障』をうたう日本にとって、これが果たして『国益』のためによかったのかどうか疑問だ」と述べ、高市首相の振る舞いや発言が国際社会に与える影響と日本の国益への影響について疑問を呈しました。
外交における「対等な関係」と慎重な振る舞いの重要性
辻元議員は、外交の場における「本来あるべき姿」について明確な見解を示し、国際関係における対等な関係構築の重要性を強調しました。
ホスピタリティと対等な姿勢の重要性
辻元議員は、「外交の原則は、相手が大国であってもそうでなくても同じ。ホスピタリティの精神を持ちつつ、他国からも対等の関係に映るような姿勢を保つことだ」と主張。特に他国の空母のような場所での振る舞いは、「世界にどういうメッセージを送るかを考えて、一挙一動、細心の注意を払うべき局面だと思う」と述べ、首相としての国際的な責任と影響力に言及しました。
ジェンダー論に終始せず、リアルな安全保障議論へ
さらに辻元議員は、「小泉防衛大臣が同じ『ふるまい』をしたらどうだろう」「『軽すぎる』『誤ったメッセージを送りかねない』と批判されても、『だから男は』とはならないし、批判の声が『男の嫉妬』ともならないだろう」と例を挙げ、議論が性差別的な「女の敵は女」「だから女は」といったレッテルの貼り合いに陥ることを懸念しました。そして、「圧倒的に男性中心の仕事場に長くいて、こうした健全な議論を封じる場面を見てきた」と自身の経験を踏まえ、「外交と安全保障のリアルこそ議論しなくては」と締めくくり、表面的な批判に留まらず、本質的な外交・安全保障政策の議論を深めるべきだと訴えました。
今回の高市首相の振る舞いを巡る議論は、日本の外交姿勢、国際社会における国のイメージ、そして政治家が発するメッセージの重みについて、改めて深く考える機会を提供しています。性別に関わらず、首相としての国際舞台での振る舞いは、常に日本の国益と国民の尊厳を反映するものでなければなりません。辻元議員の提起は、ジェンダー論争を超え、真に外交のあり方を問う重要な視点を提供したと言えるでしょう。
参考文献
- Yahoo!ニュース (2024年10月30日). 「はしゃっぎっぷりに愕然」トランプ氏の横で飛び跳ねる高市氏. (元の記事のURL:
https://jisin.jp/domestic/2532050/2/?yahoo&utm_source=yahoonews&utm_medium=referral&utm_campaign=photoより) - 辻元清美 参議院議員のX (旧Twitter) 投稿 (2024年10月30日) (元の記事に記載されている投稿日を参考に)




