高市早苗氏が、日本を訪れたトランプ元大統領に「黄金のゴルフボール」を贈ったことが大きな話題を呼んでいます。この出来事は、かつての安倍晋三元首相がトランプ氏との関係構築に活用した“ゴルフ外交”を彷彿とさせます。日米首脳間の緊密な対話を支えたゴルフ外交の実態とはどのようなものだったのでしょうか。当時、現場に同行したプロゴルファーの青木功氏が、その知られざる舞台裏と、トランプ氏が絶賛したという青木氏からの“ある贈り物”について語ります。
トランプ元大統領が愛した「ゴルフ外交」:日米首脳の緊密な関係構築
ドナルド・トランプ氏は、米国やアラブ首長国連邦、スコットランドなどでゴルフリゾートを経営するほどのゴルフ愛好家として知られ、米大統領史上最も巧みなゴルファーの一人とも評されます。ベストスコアは自称64とされ、その腕前は多くの注目を集めてきました。2019年5月26日、安倍元首相とのプレー当日には、トランプ氏自身がツイッター(現X)で「今から@AbeShinzo とゴルフをプレーする。日本人はこのゲームが大好きだ」と投稿し、日米首脳のゴルフ外交への期待感を示していました。このゴルフを通じた交流は、単なる趣味の範疇を超え、両国の関係深化に重要な役割を果たしたのです。
青木功氏が語る、茂原カントリークラブでの真剣な舞台裏
その日、茂原カントリークラブで行われたトランプ氏と安倍元首相のラウンドには、プロゴルファーの青木功氏も同席しました。青木氏によれば、18ホールのうち2ホールはヘリポートとして閉鎖されたため、実際にプレーしたのは16ホールでしたが、両首脳はゴルフを楽しみながらも、外交に関する重要な議論を重ねていたと言います。トランプ氏は、青木氏のマネージャーである村田一治氏に「ここから何ヤードある?」「どっちから風が吹いている?」と、度々意見を求めていたとのこと。青木氏自身も安倍元首相に対し、「先生、こっちで打つとあそこに落ちるから、あそこへ行った方がいいですよ」とアドバイスを送るなど、和やかながらも真剣な空気が流れていました。
茂原カントリークラブで日米首脳のゴルフ外交に立ち会う青木功氏と安倍元首相、トランプ大統領
両首脳はスコアをつけることなく、納得がいかなければ打ち直すなど、形式にこだわらず自由にプレーしました。しかし、その本質は「真剣な政治の話をするための場」だったと青木氏は語ります。誰の目も気にせず、盗聴される恐れもないゴルフ場は、腹を割って話し合うのにうってつけの場所だったのです。ニュース映像から「遊んでいるだけ」と受け取られがちですが、間近で見ていた青木氏の印象は全く異なり、文字通りの“ゴルフ外交”が展開されていたのです。
ゴルフは単なるゲームにあらず:政治を動かす外交ツール
安倍元首相とトランプ元大統領の間で行われたゴルフ外交は、単なる余暇の過ごし方ではありませんでした。それは、世界情勢が複雑化する中で、両国のトップリーダーが個人的な信頼関係を築き、重要な外交課題について率直な意見交換を行うための極めて効果的な手段だったのです。高市早苗氏がトランプ氏に贈った黄金のゴルフボールは、この伝統が今後も日米間の重要なコミュニケーションツールとして活用され続ける可能性を示唆しています。ゴルフ外交は、これからも国家間の対話と信頼醸成の舞台として、その役割を果たしていくことでしょう。





